2025年1月17日
山梨4 NPOアースが神戸で追悼式
【山梨4】1995年1月7日、深度7の大きな揺れによって瞬時に神戸は壊滅的被害を受け、高速道路や建物の倒壊、火災による家屋の焼失、6432名の尊い犠牲は、日本中に驚きと悲しみを与えた。
大震災から30年目を迎えた令和7年1月17日、震災発生当初から現地で支援を続けるNPO法人災害危機管理システムアース(山梨県甲府立本寺住職石原顕正理事長)は、神戸市内で市民追悼式を開き、犠牲者をしのんだ。石原師は「街並みの復興とともに、震災の教訓は忘れられつつあるが、多くの犠牲を無駄にしないためにも、命を守る社会を求めていく」と誓い、「これからも被災者の心に寄り添い続けていきたい」と思いを新たにした。
地震が発生した午前5時46分。神戸市内を一望できる諏訪山ビーナスブリッジに設置した希望の鐘の音が響き渡る。日蓮宗の僧侶が読経する中、50名以上集まった参加者は、無数のビル明りが暗闇に光る街に向かい黙祷をささげ、順番に鐘を突いた。
同10時から兵庫県中央労働センターで開いた市民追悼式では、アースが祭壇を設け、「声明と筑前琵琶による音楽法要」を営んだ。
法要では、僧侶22名の読経が響き、多くの参加者と共に合掌し、祈りをささげた。
また神戸市在住で、自身も被災を経験した筑前琵琶奏者川村旭芳さんは、「自身が生きている限りは大切に演奏し続け、琵琶を通して災害を語り伝えていきたい。」と語り、オリジナルの追悼曲を演奏。琵琶の哀愁ある音色が響く中、参加者は犠牲者に想いを寄せた。
読経には、同市兵庫区の住職新間智孝師も加わった。震災後、家族を亡くした檀家に連れられて行った遺体安置所で、居合わせた別の遺族に「どこの宗派でもいい。お経を上げてほしい」と声をかけられたのを機に、各地の遺体安置所を回った。「残された命をどう使うか、考える機会になった」と話す。
新間師は、震災の記憶の風化を懸念し、「アースが山梨から来て、想いを地元に持ち帰り、つないでくれることは、神戸を忘れないように語り継ぐきっかけが増えてありがたい」と語ってくれた。
石原理事長は、追悼式後に長年一緒に活動をしてきた神戸の方々と再会を喜び「被災者と思いを一つにして一緒に行動し、絆ができたことで、ここまで継続した活動ができた」と振り返った。「神戸で出会った皆さんが高齢化し、これからどうしようかと戸惑いもあるが、共に支え合い、生きることへの支援は続けたい」と力を込めた。