2024年10月25日
山梨4 山静教区第30回教学研修会
【山梨4】山梨県第四部宗務所は、令和六年十月二十五日、アピオ甲府タワー館にて山静教区第三十回「教学研修会」を開催した。
講師には立正大学文学部名誉教授・愛知県法輪寺前住職・宗宝霊跡審議会委員・日蓮宗勧学院講学職の北村行遠師をお迎えし「身延山久遠寺の出開帳」について、約五十名の僧侶が講義を受けた。
講義では、まず江戸時代の開帳にふれ「開帳とは帳を開くということで、寺社が秘蔵する神仏を公開し、衆生に結縁の機会を与えようとする宗教行事」であること。寺社の縁日などには盛んに開帳が行われ、霊剣あらたかな神仏との結縁を求めて大勢の人々が参詣していたことを学んだ。
さらに身延山久遠寺の江戸出開帳について過去の出開帳について記録した史料に目を通し、その半年から一年もの長い準備期間・実施への必要な準備・受け入れ準備など具体的な内容と歴的背景について説明がなされた。
北村先生は「このように開帳の実施にあたっては、出役が実施のほぼ十ヶ月前から江戸に出向き、江戸に常住して触頭寺院の協力のもと、寺社奉行所から講中・末寺寺院などの関係機関・関係者との間を往き来し、交渉を行っていたことが知れる。ときには講中の機嫌を取りながらの交渉を求められることもあり開帳を実施し、それを成功させるためには、この出役の果たした多彩な役割の実に重要であったことが伺われよう。
身延山久遠寺の江戸出開帳は、単に一寺院の開帳というのではなく、江戸の諸講中や末寺寺院を巻き込んで、身延山久遠寺に代表される日蓮宗の法華信仰の高揚を旨とした、スケールの大きな一大イベントとして行われていたということがいえよう」と語られ、参加者は貴重な教えを頂いた。
これからも一同は、更なる研鑽と勉学に励むことを誓い、本年度の研修会は幕を閉じられた。