2024年5月19日
羽咋市本山妙成寺・藤井日傳貫首晋山式
【石川2】石川県羽咋市本山妙成寺で第71世・藤井日傳貫首の晋山式が5月19日に営まれた。持田日勇身延山久遠寺法主猊下や田中恵紳宗務総長、前田家第18代当主の前田利祐さんら僧侶檀信徒約300人が参列し、重要文化財の建物10棟を有する北陸随一の古刹の歴史の1ページを祝った。
式に先立ち、同寺晋山式での伝統「奴行列」が8年ぶりに披露された。この日のために練習を重ねてきた滝谷町奴保存会の22人が「へいよー、おいやせー」という独特の掛け声と動作で、籠に乗った藤井新貫首の露払い役を担った。「妙成寺を国宝に」というコピーが印刷された旗を持ち、新しい貫首の就任に期待を寄せる人たちも集い、一段と熱が籠もった行列となった。
奉告式はお題目に抑揚をつけて唱える能登特有の高題目で幕を開けた。藤井貫首が御宝前で供膳した後、第63世を務めた師の藤井日光上人(後の身延山久遠寺第91世)の妙成寺における本堂含む諸堂の屋根整備などに尽力した功績を奉告文で称えた。また開山の日像上人や伽藍を整えた加賀藩祖・前田利家公側室の寿福院、同寺を支え続けた先師らに報恩感謝を捧げるとともに能登地震復興を祈念した。自我偈では高題目を担当した檀信徒がうちわ太鼓で拍子を取り、堂内一体となった読経がこだました。
祝辞では岸博一羽咋市長が10棟の重要文化財の国宝指定に期待を示し、能登地震復興につながることを願った。謝辞に立った藤井貫首は、能登の復興を第一としながら、第69世を務めた駒野日高上人が先頭に立って取り組んでいた国宝昇格運動を引き継ぐことを誓い「この努力が結実することを」と願った。再び檀信徒一体となる高題目が披露され、慶事の余韻あふれるなか、式が閉じられた。
(支局発)