2025年1月17日
兵庫東 阪神・淡路大震災慰霊法要
【兵庫東】1月17日、兵庫県東部宗務所において、今年で30年目を迎える阪神・淡路大震災の慰霊法要が開催された。
当日は11名の僧侶による読経、お題目の祈りのもと、全ての被災者(6434人)一人ひとりに対して回向供養がなされた。
松本恵孝宗務所長は「30年経った今でも当時のことが忘れられない。巷では30年を節目として慰霊法要を取り止めるという話もあるみたいだが、震災を風化させない為にも続けていかなければならない。自分たち僧侶にできることをを常に考え、今後も祈り続けたい」と熱く思いを伝えた。
また、青年会では同日の震災発生時刻(午前5時46分)に、神戸市中央区東遊園地で行われた神戸市主催「阪神・淡路大震災1・17のつどい」に参加し、黙祷、被災者の霊位に読経回向を行った。大塚泰誠青年会長は「震災から30年、当時を知らない世代が増えてきているが、未だに傷痕が残っているのも事実。少しでもケアが出来るよう手を合わせ祈りを捧げていきたい」と語った。
毎年震災の時期になると、神戸の街並みを明るく彩る「ルミナリエ」という大規模なイルミネーション作品が設置される。
ルミナリエは阪神・淡路大震災をきっかけにはじまった行事で、犠牲者への慰霊と鎮魂の意を込めるとともに、都市の復興・再生への夢と希望を託して始まったものである。未だ復旧途上にあった神戸の夜に灯った光の芸術は、大災害に打ちひしがれた神戸の街と市民に大きな感動と勇気、希望を与えるものとなり、現在まで受け継がれてきた。
しかし現代において、ルミナリエに訪れる若者の多くが開催の意味を知らず、「神戸特有の綺麗なイルミネーション」だけとしか認識されていないのである。これはまさに、時代と共に震災が風化されていく様を象徴する一つであろう。
そんな風化が進みつつある今、阪神・淡路大震災事業コンセプトには30年目の節目にあたり、「忘れない」「伝える」「活かす」「備える」に加え「繋ぐ」が追加された。
我々が毎年慰霊法要を行うことは、阪神・淡路大震災犠牲者への弔いはもちろん、街の復興に尽力し、現代へ受け継いで下さった人々への感謝、何より震災が風化しないよう後世へ伝えていく為である。
一人ひとりが自分にできる行いをし、1.17という大切な一日が、後世に「繋がる」ことを切に願っている。