2024年11月3日
神奈川1 日蓮聖人御真筆修復完成奉告式
【神奈川1】「令和6年11月3日午後2時、日蓮宗宗門史跡名瀬妙法寺(神奈川県横浜市戸塚区・久住謙昭住職)で「日蓮聖人ご生誕八百年慶讃記念事業 日蓮聖人御真筆修復完成奉告式」が営まれた。当日は晴天に恵まれ、約120人の僧侶檀信徒が参列。久住謙昭住職ほか式衆が入堂し、声明と雅楽が織りなす厳粛な法要が営まれた。修復が施された日蓮聖人の真筆は「伯耆殿並諸人御書」・「桟敷女房御返事」・「本門大法御書」の3幅で、いずれも宗宝に指定されている。これらは元来、和歌山県和歌山市の天台宗日正山了法寺(元は日蓮宗寺院。養珠院お万の兄で紀州徳川家家老であった三浦為春が開基)の什物であったが、平成30年に縁あって妙法寺に譲られ、間もなく宗宝に指定された。ただ、長い年月による損傷が激しかったため、久住師は日蓮聖人御降誕八百年の慶讃記念事業として修復を発願。総代・世話人をはじめとする330人を越える檀信徒から浄財が集まり、3年の年月を経て修復を終えた。式典には、修復事業の監修を担当した立正大学名教授の中尾堯文師、立正大学教授の原愼定師、常円寺日蓮仏教研究所主任の都守基一師が参列し、中尾師は「日蓮聖人の御真蹟を修理するには国宝並みの技術が期待されますので、国宝修理を担当する業者の一つ「半田九清堂」に依頼しました。長期にわたる修理の期間に久住師と私はたびたび工房を訪れて、その厳密な工程を見学しました。その結果は素晴らしく、国宝の修理に匹敵する見事な出来栄えで、今日その姿を尊く拝観できます。」と祝辞を述べた。久住師は「修復を進める中で、440年前の天正八年(1580年)に修復に携わった先人の覚書が出てきました。私にはそれが次に修復する私たちに送られたメッセージのように感じられました。そして半田九清堂様には『今回の修理で一千年先まで大丈夫です』とのお言葉をいただきました。この修復事業に浄財を寄進して下さった全ての人たちが、“一千年先の遠い未来の人たちにとって信仰の歴史をつなぐ一人になる”と感じています。次の世代へ歴史をつなぐ担い手となることができた悦びを抱きつつ、修復事業に携われた全ての皆様に感謝申し上げます。」と謝辞を述べ、式が終了した。