2023年6月13日
千葉南 高照寺の乳イチョウ一部倒れる
勝浦市高照寺(佐々木光道住職)の県指定天然記念物「高照寺ノ乳公孫樹(ちちいちょう)」の一部が倒れた。6月13日の朝、境内墓地の一角に根を張る乳イチョウの一部が根本から倒れ、墓地に覆い被さっているのを佐々木光道住職が発見したもの。近隣で音を聞いた人はいなかったという。倒木の下敷きとなって多くの墓石も倒れたが、天然記念物のためお寺の判断で動かすこともできず、ようやく撤去作業が始まったのは19日の朝だった。
高照寺の乳イチョウは、昭和初期に植物学者の牧野富太郎博士が樹齢1000年を数えるかと評価したことで有名な巨木。大きく横に伸びた枝や幹から、根が垂れ下がる「気根」が多数発生しており、乳イチョウと呼ばれるようになった。1000年前、乳不足に悩む母子のために法華経を読誦したという僧侶の死後、地域住民がその徳を偲んでイチョウを植えたという言い伝えがある。近年になって幹に亀裂が入る、塩害で葉が枯れるなど、健康状態が心配され、栄養を与えたり支柱を設置したりと手入れがされており、5月にも大規模な剪定を行ったばかりだった。残った3分の2ほどの乳イチョウには、今後も樹勢回復の処置が続けられる。
「お母さん方の思いと1000年生きた木を無駄にしたくない」と語る佐々木師は、倒れたイチョウの木片からお守りを作ることを考え、今後関係者と話し合っていくという。