2019年5月26日
秋田 日本海中部地震第37回忌追善法要
【秋田】日本海中部地震から36年、海岸に慰霊のお題目響く
日本海中部地震の発生から36年目を迎えた5月26日、秋田県宗務所(柴田寛彦所長)は「日本海中部地震第37回忌追善法要並びに国土安穏祈願法要」を行った。法要には僧侶檀信徒合わせて25名が参加し、津波による被害者を出した第1会場(能代港)と第2会場(加茂青砂)を巡って、慰霊のお題目を海へと響かせた。また当日は、秋田県修法師会(阿部龍翔会長)による国土安穏祈願祈祷も行われた。
36年前の5月26日、穏やかだった日本海が豹変した。能代港では、東北電力能代火力発電所の用地造成や港の護岸工事中に35名が、また加茂青砂では遠足に訪れていた小学生13名が津波に襲われ尊い命を失った。日本海側は太平洋側に比べると津波被害の経験が少なく、地震発生時も津波に対する策が十分に取れていたとは言い難い状況であった。秋田県では、昭和14年に男鹿地震が発生している。その際には加茂青砂には津波が来ず、山で起きた土砂災害の落石事故で被害者が出た。そういった過去の経験から、山に逃げるという避難行動の遅れが生じたとも言われている。当日参加した檀信徒は「テレビで当時の状況や津波被害者の事を知り、亡くなった方達にお菓子をお供えしたいと思った。海がキラキラして、子供達はこの海を見ながらお弁当を食べていたのかなと、実際に現地を見て感じる事ができた。」「子供達に会えたようで嬉しい。お坊さん達と一緒にお題目を唱えられて本当に良かった。」と海に向かって熱心に拝んでいた。秋田県内では高齢化が進み、災害発生時の避難行動は難しさを増している。いざというとき、自分と家族の命をつなぐために何ができるのか、何をすべきなのか。日常が災害と常に隣り合わせであることを忘れてはならない。