オピニオン
2018年5月1日号
智慧のある欲を
「世の中は、一つ叶えば、また二つ、三つ四つ五つ、むつかしの世や」。1つの願望が叶えば2つ目が欲しくなる。2つ目が叶えば3つ4つ5つ目がと、次々に欲しくなる。ああこの世はむつかしいものであるという道歌です。
まったく人間の欲望にはきりがありません。欲が欲を呼び、限りなく大きくなる。欲で身を滅ぼす人はたくさんいます。地球の環境破壊も、人間の見さかいない欲望の結果でしょう。だから欲望を全て捨ててしまえとは言いません。欲がなければ人間は生きられないし、文明の進歩もなくなってしまいます。仏教では決して欲望を否定しておらず、智慧のある欲の使い方をする「少欲知足」と言って、ほどほどの欲で足りることを知れと説きます。しかし、どの程度が「ほどほど」なのか。それを知るのが「智慧」です。「知識」ではありません。その「智慧」は神仏の慈悲に感謝して、謙虚に手を合わす日々の信仰から生まれます。
(大阪府三島布教師会長・掛下史峰)
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日蓮聖人降誕八百年中四国教区大会開く
日蓮聖人降誕八百年の中四国教区大会が4月3日、岡山県倉敷市民会館で開かれた。内野日総管長猊下を大導師にお迎えした慶讃大法要には宗門の将来を担う子弟も参加し、中国・四国地方からバス約50台で集まった僧侶檀信徒約2千人とともに、日蓮聖人が目指された立正安国の世の中を実現する誓いを新たにした。
会場入り口に安置された日蓮聖人のご降誕の聖地・千葉県大本山誕生寺の日蓮聖人ご幼像前で、岡山管区寺院による万灯講中がお囃子を鳴らしながら、賑々しく纏を振り、参加者を迎えた。ご幼像は誕生寺が降誕八百年に向けて新たに造立・開眼したもので、教区大会では初の出開帳となった。ほか実行委員会では、参加者がこれまでに経験したことのない大会を開催し、八百年の記念を心に植え付けてもらいたいと、レーザーや映像を多用した演出のなか、コーラスや唱題行、和讃、講談「日蓮聖人御一代記」が行われ、日蓮聖人降誕の奇跡を感じる時間となった。
法要では、小学校2年生から中学2年生までの11人の宗門子弟が夏から練習を積んだという日蓮聖人ご幼像の遷座や祭文の奉読、献灯、散華、献茶、そして唱題でのお題目の第1声と諸役で活躍した。途中、ご入滅間際の日蓮聖人が幼き経一丸(後の日像上人)を呼び、頭を撫でられながら帝都(当時天皇がいた京都)でのお題目の流布を託されたという故事に習い、内野管長猊下が子弟1人ひとりの頭を撫でられ、宗門の未来を託された。
内野管長猊下は、ご親教で備前法華をはじめとする信仰の深さを讃えられるとともに絶えることのない世界の戦火について述べられ、原爆を落とされた広島がある中四国教区内の日蓮宗徒が平和へ向かって果たさなければならない役割の大きさを語られた。
高知県檀信徒協議会長の氏次邦臣さん(81)は「身延山にお参りしたいが、体の自由がきかないため、内野猊下のご親教はありがたい。今日の日を信仰の新しい日にしたい」と述べ、宗徒の自覚を深める日となった。
法要後、ご幼像遷座の大役を果たした守本雅貴さん(中2・岡山県法龍寺子弟)は「大事なご幼像でしたので持つだけで緊張しましたが、誰でもできることではないので良い経験になりました」とほっとした表情をのぞかせた。
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2018年4月29日号
兵庫北 第51回護法大会開催
【兵庫北】宗務所主催(宮﨑英一宗務所長・豊岡市出石町本高寺住職)の第51回護法大会が4月29日、豊岡市勝妙寺(河村瑞栄住職)を会場に開催され、各地より僧侶と檀信徒を合わせて270人が出席した。
午前10時より田邊忠司檀信徒協議会副会長(美方郡新温泉町栄福寺(吉川陽久住職)檀家総代)が、開会のことばを述べた後、宮﨑英一宗務所長、宿南登檀信徒協義会会長(養父市八鹿町実行寺檀家総代)の挨拶が行われた。
そして、10時15分より「いのちに合掌」と題して奥田正叡師(京都市常照寺住職)の法話が行われた。
奥田師は、文章や写真等の資料をスライドショーを使って表示し、宮澤賢治や身延深敬園(ハンセン病療養所)創始者綱脇龍妙上人の生涯が、常不軽菩薩のごとく但行礼拝の生き方を貫いたことを説明した。そして日蓮宗の合掌は、ただの挨拶ではなく、但行礼拝の精神が込められた合掌であり、相手の仏性を信じる行為であると解説され、約1時間半にわたって会場の檀信徒は熱心に耳を傾けていた。
その後、佐竹英文副長(朝来市本行寺住職)の謝辞が述べられ、山主と総代の挨拶で午前の日程が終了した。
昼食をはさんで午後からは、法要、寺庭婦人会による宗歌・仏讃歌・和讃の奉唱が行われ、最後に松井勝巳檀信徒協議会副会長(豊岡市立正寺(村井淨音住職)檀家筆頭総代)のあいさつが行われて、午後3時前に閉会した。