2015年10月28日
佐賀 社教会管区研修会
【佐賀】秋晴れの心地よい天気となった10月28日、佐賀県社教会(藤木辨昇会長)主催の管区研修会が、佐賀市久保田町の龍光寺(森永憲章住職)において開催された。 檀信徒・教師合わせて30名程の出席の中、佐賀県多久市の中学校で教鞭を執られている白濱洋子先生に、「生と死を考える『いのちの授業』を通して」という講題でお話を頂いた。
まず最初に、今の小中学校の現状を、授業時間やその内容・実際の日常生活の変化等を示し、今の大人がかつて過ごした学校とは、かけ離れたものになっていることを説明された。特に、生徒の受けた『道徳教育』に対して、学校側が五段階で評価を付けなければならないという、とても難しい課題についての話が印象的であった。また、世間で起こっている幼いいのちが失われた事件を挙げられ、「どんなことがあっても死んだらいかん!」と、子供のいのちを守らなければいけないこと、大人がその責任感を失いつつあることに対して、強い警鐘を鳴らされていた。
そして、実際に小中学生に対して行っている『いのちの授業』の様々な実例を、写真を交えて話された。
自分の悲しみや苦しみを隠さずに、中学生が同級生に正直に話す授業。沈んだ船の救命船に誰を乗せるかという「ライフボート問題」。終末緩和ケア病棟に慰問に行き、逆に患者さんに元気を与えた話。その小児病棟で、自分達より小さい子供を見て、両親の愛情に気づいた事。等々現代社会において、情報の氾濫によって、早熟で不安定になりがちな中学生が、のちを、生と死を見つめる実体験を通して、生きていることの不思議やありがたさを感じれるようになったのだと、白濱先生は熱く語り、研修の参加者も熱心に聞き入っていた。
公演の最後では、核家族化が進み、近所付き合いも薄れた今の世の中において、力の無い子供たちが助けを求める場所、逃げ込める場所が少なくなってるのだとおっしゃられた。そういった子供達の居場所・立ち寄り場所として、お寺の存在は、これから先とても重要であると、参加者に強く訴えられた。
今回の研修の参加者は、幼い頃から人と人との交流や、日常生活の中で生と死を体験することの重要性を感じ、さらには現代社会で寺院が担っていく役割を、改めて考えさせられたことであろう。 情報化の流れは止められないだろうが、その中で体験や居場所を提供していくことが、これからの社会教化のキーワードになるはずである。