2013年7月14日
復興への願い託し、神輿贈る 山梨県善国寺檀家
山梨県富士川町・善国寺(川名湛忍住職)が岩手県大槌町赤浜地区の八幡神社に震災復興を祈念して贈呈したお神輿の奉納式が7月14日、同地区で行われた。 初の渡御となったこの日、威勢のいいかけ声でお神輿を担いだ町民らは町内をはじめ海の中にも練り入って奉納を喜んだ。八幡神社でお神輿を迎えた女性 (81)は「10月のお祭がますます盛大になりそうだ」と目を細めていた。
このお神輿は善国寺の檀家で大工の斎藤文三さん(享年80歳)が製作にあたっていたものの未完成のまま逝去。震災被災地に支援物資を送る活動を続ける川 名住職に遺族の斎藤俊之さんが、「津波でお神輿を失った地域に贈れないものか」と相談を持ちかけたことが発端となって完成させ、被災地に贈った。
寄贈にあたって、お神輿の保管倉庫がないという問題が浮上した。富士川町にも文三さんが作ったお神輿があることから、川名師と俊之さんは「兄弟みこしプ ロジェクト」と銘打ち、お神輿の格納庫の建造資金などの勧募を今年の3月に開始した。善国寺の檀信徒をはじめとした富士川町の人から浄財が集まり、この7 月に赤浜地区に格納庫を完成させた。
奉納式を終えて俊之さんは「きっとおやじも喜んでくれる」と感慨深げに語った。また、川名住職は「多くの人の協力があって自分にできることの範囲を超え たことが実現できた。お神輿を通じて新たな交流が生まれ、地域の住民が被災地に思いを寄せるきっかけになればいい」と話している。