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2015年4月29日

三重・第四十八回立正平和祈願会

【三重】暖かさ増し、新緑が目にも鮮やかとなってきた4月29日。三重県桑名市の葬祭会館、昇龍殿において、『第四十八回日蓮宗三重県立正平和祈願会』が開催された。
毎年、三重県宗務所が主催し県内各寺院を会場に、午前は法話や講座や唱題行を、午後には平和祈願の法要を檀信徒と共におこなうこの大祈願会。県内外から約180名の檀信徒が参加し、唱題行などの仏道修行に打ち込まれた。
午前10時30分、檀信徒の待つ主会場に30名の上人がお題目と共に一堂に昇堂。宗務担当事務長 浅井教幸上人(三重県松阪市法久寺住職)による挨拶で開会となった。
第1講は社教会会長 加藤英明上人(三重県桑名市圓妙寺住職)による講話『介護と終焉』と題してのお話がなされた。
最初に加藤上人は社協会の活動内容について簡単に説明。次いで、先日99歳で逝去された加藤上人の祖母を介護し、看取るまでの経験談を話された。
祖母を施設に入れることをきっかけに加藤上人は、バリアフリーな環境を作ることの難しさから『家庭でできる介護の限界』を、空調・栄養・衛生などあらゆる面において行き届いた『施設だからこそ提供できる介護』との違いを強く感じたという。
その後、体力の衰えからか、加藤上人の祖母は自身の力で食べることが出来なくなり、そこで胃に直接栄養を送り込む『胃ろう』をするか否かの選択を迫られた経験を説明され、都度『介護する者の悩み』と『介護される者の悩み』それぞれに大きな選択を迫られていることを話された。
ここで加藤上人は、ビハーラ活動で活躍している身延山大学特任准教授の村瀬正光上人(愛知県名古屋市 大光寺修徒)のお話をいくつか紹介。加藤上人自身も村瀬上人の講演内で体験したワークショップの体験談を話された。
まず、5枚のメモ用紙を用意し、自分が大切にしている物や人の名前をその5枚の紙に書き留める。そして、『自身の死』を間近に控える話を聞く中で、1枚…1枚と5枚の中のどれかを選んで破り捨てていかなくてはいけない。ワークショップの中で加藤上人が最後に残した1枚は家族の名前だったが、隣の席にいた所長の手元にあった最後の一枚、そこには『信仰』の2文字があり、加藤上人はとても感動したと語る。
最後に加藤上人は、「自分が亡くなる、ということを考える。自分の終焉を考えることをきっかけに、善い生き方を、そして信仰ある生き方を考えていただきたい」と述べられ、法話を終わられた。
午前の部第2講は統一信行として、三重県布教会会長 冨田啓暢上人(三重県熊野市本乗寺住職)による法話『愛しい人の死 悲しみとの対話』と題してのお話がなされた。
冨田上人はまず、我が子を亡くしたキサーゴータミの説話から無常、愛別離苦の説明をされた。そして近年の家族葬増加に伴い、忌日法要が持っていた側面──遺族が四十九日忌、百箇日忌…と忌日法要に参加するということが、故人の死を受けとめていくための機会でもあるにもかかわらず、その機会が失われつつあることを説明された。
そして講師である冨田上人自身、本年2月に妻を亡くされたばかりであることを明かし、自身の経験から感じた悲しみとの対話について話をされた。
家事をこなし、仕事にうちこみ、時には酒の助けなどもあって、孤独感から鬱になることは幸いにしてなかった。しかし冨田上人の心の中で、日々、悲しみのスイッチが入りやすくなったこと。ふと一人でいた時や、街中で同年代の夫婦を見ると思わず感情が溢れ出すことがあることなどを話された。
生来、自身は孤独に強いと思っていたが、「ところが…そうではなかった。孤独では、つらい…ですね…」と、伴侶を失った孤独感の重さを上人は語り、その話に、檀信徒の中からは目頭を押さえ、涙を拭う方の姿もあった。
次いで、各方面から色々言葉をかけてはくれるが「ご愁傷様」や「がんばりや!」など、言葉での励ましをもらうより、むしろ話を聞いてくれる人がいることの方に有効性があると感じたと冨田上人は語る。
「お題目の信徒として、大事な人を送る機会として、どういう風に接していくのか、その一助となればと思い、お話しさせていただきました」と語り、冨田上人は法話を閉じられた。
引き続き第3講は、三重県青年会会長 冨田周温会長(三重県熊野市本乗寺宗徒)による唱題行がおこなわれた。
冨田上人は唱題行をはじめるにあたり、懇切丁寧に所作等説明したのち唱題行を開始。高らかに唱える冨田上人の声に負けじと、力強い檀信徒の唱題が会場内に響き渡っていた。
午前の部最終の第4講は、日蓮宗三重県伝道センターより西片元證上人(三重県四日市市安楽寺住職)による法話がおこなわれた。西片上人は現在、日蓮宗三重県伝道センターで行われている伝道活動と教箋について解説。本年も法華経の名場面集を紹介された教箋『法華百葉』シリーズの新作をテキストにし、法華経(安楽行品、勧持品、法師品)についての解説をされた。
唱題行に引き続いては法要、三重県宗務所長 田中正法上人導師のもと平和祈願法要がおこなわれた。県内僧侶による回向、ならびに修法師による国内・世界平和祈願のための修法がなされ、檀信徒の読経の声と、木剣の張りつめた音が会場内に響き渡っていた。

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新年のご挨拶。

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