2020年10月22日
静岡中・清水13ヵ寺で宗祖降誕800年慶讃法要
【静岡中】清水日蓮宗寺院十三ヵ寺は十月二十二日に本山龍水山海長寺にて宗祖降誕八百年慶讃法要を執り行った。新型コロナウィルスの影響で管内各区で予定されていた慶讃事業が軒並み延期や縮小となる中、万全の三密対策を行っての慶事となった。
散華が厳かに舞う中、導師を勤める中條日有貫首が仏祖三宝への感謝と共に慶讃文を奉読し、参列した各寺院の代表者と共に「弥源太殿御返事」を拝読した。読経の後
静岡県中部宗務所所長・富士宮市円恵寺山主 塚本智秀師より祝辞が述べられ、
中條貫首より「本来ならば本年の四月に日蓮聖人のお誕生をこの海長寺の本堂で大勢の檀信徒とお祝いすることを計画しておりましたが、疫病による影響で縮小を余儀なくされていたところ、若い僧侶方が中心となって今日に至れた事に感謝を申しあげます。日蓮聖人の三大誓願、立正安国・破邪顕正・異体同心、その三本の柱がありますがコロナという直近の大難が私達の目の前の問題としてある中、異体同心という言葉、お互いの力で注意しながら心を一つにしていけば
明るい社会が来ると信じ、一刻の早い社会の安寧をお祈りします。」とコロナ禍での心の在り様と参列への感謝を述べられた。
法要後には記念講談として人気講談師の一龍齊貞鏡師による日蓮聖人伝の披露があった。
聴衆は堂内に朗々と響く、貞鏡師の声と張扇の小気味良い音に、人の集いが制約される日々の労苦をしばし忘れて熱心に耳を傾け、マスク越しでもわかる程の笑顔にひと時を楽しんだ。
聴聞した清水区本能寺檀徒の鈴木陽子さんは聖人出家得度の際の情景を上げ、「日蓮聖人が出家の際のお母様との別れを今回講談で見聞きした時に菩提寺の若上人が身延へご修行に入られる時の事を思い出して感動しました。」と喜んだ。
貞鏡師は今回の記念講演を振り返り「講談界もコロナ禍で寄席ができず難しい時期が続いていました。実はフェイスシールドを付けての講談は今回が初めてだったのですが、それ以上に聞いてくださるお客さんの表情が最初マスクで隠れて困りました(笑)次第に慣れて、くすくすと笑ってくださる反応が伝わってきました。高座の格調と落語の笑いの要素の中間にあるのが講談だと思っていますが、仏教で説かれる中道…固すぎず柔らかすぎず臨機応変に向き合っていきたいです」と述べられた。
清水の地にて今回の慶事はコロナ禍においても宗祖の遺徳と歴史に触れ、人の繋がりの有難さを改めて感謝する機会となった。