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2018年6月6日

東京東 東京四部布教講習会

東東180706 (2)【東京東】東京四部宗務所主催の平成三十年度東京四部布教講習会が6月6日、東京都東部宗務所(内山堯邦所長)を担当管区として第一ホテル両国にて開催され、100名の教師が参加した。
テーマは、「最新医療からみたいのち」。当管区では、宗門運動『立正安国・お題目結縁運動』開始以来、スローガンの「いのちに合掌」に則り、過去二回、「いのち」をテーマに絞って研鑚を深めており、今回も医療の立場からみた「いのち」について講演を頂き、布教の一助となすべく企画・開催された。
開講式では、内山所長を導師に法味言上及び挨拶、続いて武見敬三氏(参議院議員・日蓮宗全国檀信徒協議会顧問)より挨拶があり、「私も堀ノ内妙法寺の檀家で、幼少の頃から家族を通じて信仰を身につけられたことは幸せであり、その上で政治家として国政の役割を担わせて頂いている。大きな変革期にある我が国において、中長期的な展望をきちんともって、少子高齢化の中においても活力ある健康長寿社会を構築し、国民が正しく国を守り国を育て、一人一人が努力精進し、健康かつ有意義に人生を過ごせる社会にしていきたい。是非、日蓮宗としてまたそれぞれの地域社会の立場で、この国を支えて頂きたい」と宗門への期待を寄せられた。
講習会では、最初に岡野栄之先生(慶應義塾大学医学部教授)より「最新医学からみたいのち」と題して、研究データをもとに講演が行われた。冒頭、約40億年前の地球誕生以来、地球と共に進化してきた生命の歴史、一つの受精卵からできた約60兆・250種類の細胞で構成される人間の体、特に多能性幹細胞や体性幹細胞の機能など、生物・生命・細胞についての説明がなされた。次にES細胞について、初期胚から取り出した多能性幹細胞で、無限に増えて体を構成するどんな細胞も作ることができるため難病など色々な疾患に再生医療として用いることができる一方、他人の細胞であるため移植後に拒絶反応を起こす可能性があり、また免疫抑制剤と併せて細胞の生存維持を図る必要があるためインフルエンザや感染症にかかりやすく、癌も抑制できず、さらには倫理的、宗教的議論もあると現状を示された。続いてiPS細胞について、これらの問題点を回避して発見された技術で、「発生過程は、後戻りしない」という発生生物学の常識を打破して、体細胞の初期化に成功したものであり、医療応用への可能性として、拒絶反応のない安全な再生医療の確保や病気の原因究明、創薬、投与前の副作用の評価などを挙げられ、さらに難病の解決や万病克服への試金石にもなるとされた。現在は、iPS細胞を用いた再生医療の実現に向けて、脊髄損傷や認知症などを対象疾患に研究・開発をすすめており、「安全なiPS細胞治療を1日も早く患者さんへ」と思いを述べられた。
次に、河北博文先生(河北医療財団理事長)より「地域医療からみたいのち」と題し、神学・法学・医学の分野を習得したいわゆるプロフェッショナルとされる立場、特に医療から見た命についての講演が行われた。人間は「考える葦」と言われるように考えることで強くなれる存在であるため常に考える習慣を身に付けることが重要であること、また、命に関わる職業という点で医者と僧侶は共通しているとされ、人間の尊厳の定義とは「その人らしいこと」、すなわち「その人らしく生き、その人らしく死ぬこと」であり、医者や宗教者は一人一人に寄り添い支えるべき立場にあること、健康とは身体的・精神的・社会的に調和が取れていることで、その為には人間の臓器や細胞だけを見る人体病理ではなく、その人がどんな人かをきちんと見て、認め、一人一人を見極めるといった人間病理として考えることが重要であること、さらには、人と社会は密接な関係にあることから人間病理から社会病理を考える必要があること、そして、人に接する時には「需要・傾聴・共感」の気持ちをもつこと、すなわち相手の気持ちを受け止めるにはまず自らが心を開き、心を込めて最後まで相手の言いたいことをしっかりと聴き、心を共にして常に寄り添う、そういった心が大切であるとされ、社会の誰かが一緒になり寄り添うことで、人間は「その人らしく」生きていけると結ばれた。また、「死は医療の敗北ではないのか」との質問に対しては、「必要な治療を施した上での死はその人の人生の完結であり、ある意味喜びでもある」、と死生観を示された。
閉講式では、来年度開催担当管区の茂田井教洵東京都西部宗務所長を導師に法味言上及び挨拶がなされ、最後に小山内功静東京都東部布教師会長より御礼の言葉が述べられ閉会となった。

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新年のご挨拶。

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