2017年8月21日
兵庫西 ロボット和尚と寄進者の思い
【兵庫西】本堂の障子を開けるとお題目が聞こえ始める「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経…」
御宝前に向かうのは小柄なお坊さん。聞こえてくるのは張りのある声にリズミカルな木柾の音だ。こちらの気配に微動だにしないのも当たり前、このお勤めをしているのは人ならぬロボット和尚なのだから。
兵庫県加古川市法徳寺(花房英俊住職)では今から20年前、本岡善弘さんという篤信者の方がこのロボット和尚を寄進された。その年の7月に母親を亡くした本岡さんはその供養にと、元国鉄での車両整備の知識を応用し、廃品を使ってこのロボット和尚を作り上げた。しかし、苦難の連続。中でも木柾を叩くスナップを利かせた腕の動きには苦労したという。そんな時には心静かにお題目を唱え、考えていると車のワイパーの動きを思い付き、その部品を使ってロボット和尚の腕を制作したという。すべて出来上がると、最後に母親がお寺参りの時にいつも着ていた着物を仕立て直して衣として着せて、このロボット和尚は法徳寺へやってきたのだ。「お上人のお題目がいつも聞こえている本堂になってほしい」本岡さんはそう言われていたという。
いまではインターネットの検索でロボット和尚と入れると、法徳寺が一番に出てくる。マスコミでは何度も取り上げられ、遠くはイギリスの番組でも紹介された。
そんなロボット和尚も約10年前に本岡さんを失い、今では花房住職が出来る範囲でメンテナンスを行って、今でも法徳寺の本堂でお題目を唱えている。
取材に応じた花房英俊住職は「このロボット和尚のことでマスコミの取材を受けると、『お寺はこんなところまで!』のように面白可笑しく取り上げられることが多く、最近はお断りすることも多くなりました。やはり寄進された本岡さんの信仰というものをこのロボット和尚を通して少しでも伝えていけたらと思っております」と語って下さった。