2026年3月1日
■三輪清浄の布施
貧女はお釈迦さまにわずか一灯を献じた。仏教説話「貧女の一灯」は純粋な信心から出た布施の尊さを説く▼3月4日、東京高裁は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に解散を命じる決定を下した。判断理由に社会通念を逸脱した高額献金の実態をあげている。先祖の因縁などと不安を煽り献金させたという。貧女のごとき無垢な信仰心につけ込み、組織的に搾取していたとすれば許されることではない▼ただ、我々もこれを対岸の火事と見てはならないだろう。宗教法人へ向けられる世間の目は一層厳しさを増したといえる。これを他山の石として布施のあり方を改めて確認すべきときかもしれない▼お釈迦さまの説く布施の原則は「三輪清浄」である。「施者」は見返りを求めない心で施す。「受者」は不満なき心で受ける。「施物」は真っ当な手段で手に入れた物であること。この3つが清浄であればこそ、布施は喜びと感謝によって自然と循環する。仏教教団が2500年もの間存続できたのもこの教えを遵守してきたからだ▼先の説話には続きがある。長者が財力にものをいわせ献じた万灯は一晩で消えた。しかし貧女の一灯は誰も消すことができず光を放ち続けた。宗教者が目先の欲に眩めば、世間の大風が吹くだろう。その時、万灯は一瞬で消える。消えぬ信心の一灯。三輪清浄なる布施を大切にしたい。 (子)




















