鬼面仏心
2022年1月20日号
■リセット
世界中を荒らしまわったコロナ。世の中がグローバル化した分コロナの感染も世界規模に。不要不急の外出の制限、3密を避けるといった感染予防の対策は、私たちの日常生活や仕事のあり方、さらに親戚や友人付き合い、大事にしてきたシキタリや価値観まで大きく変えさせた▼信仰の世界もコロナ禍によってその土台骨に大きな亀裂が。本来日本人の信仰は個人の信仰というより、その家に伝わる信仰を継承するという傾向が強い。しかし継承するだけの信仰は不要不急の筆頭に挙げられ、その結果、寺・墓・葬式離れが急速に進行した。信仰のない儀式やシキタリがいかに弱いかが露呈したのだ▼パソコンやゲーム機にはリセット機能がついている。間違った時やゲームに負けた時に押すと、一瞬にして画面が新しくなる。多くの人間の生命を奪ったコロナ。そのため、不本意ながらも私たちは従来当たり前としてきたことを考え直すという機会を得た。その意味でコロナはこれまでの常識や当たり前をリセットさせたといえる▼リセットの基準は不要不急と密を避けるという物差しだ。これまで漠然と継承してきた信仰。自分にとって信仰とは不要不急のものなのか。信仰に命をかけられた日蓮聖人。その門下としてこれで良いのか。今年はこれまでの信仰の在り方を一旦リセットし、正しい信仰の在り方を考える年にしたい。(義)