鬼面仏心
2025年4月20日号
■努力の先の生活
トランプ大統領が相互関税としてべらぼうな関税率を発表し、世界経済の先行き不安から株価が乱高下した。擁護するわけでは決してないが、グローバリゼーションが各国の産業を衰退化させたり、失業者の増加、貧富の差の拡大、そしてそれに伴う地方の衰退を招いたことは少なくともある▼最近の世情を見ていると、例えばお金を稼ぐという手順が、「努力・夢」→「結果」だったものが、「楽して稼ぐ(投資など)」→「お金で夢を叶える」に見えてならない。投資・果ては悪いことをしても「大金」が入ってくる可能性があるならば、SNS上に映される他人が豪遊しているような人生を自分も送られる、と考えているように感じる。夢(あこがれの職業など)を叶えて自分の生活があるわけではなく、お金があれば夢が叶えられると、手順が逆なのだ。SNSなどの影響もあると思うが、投資をして将来に備えようという世の中の喧伝が、悪く伝わっている側面もあるのだろう▼ただ最近の小学生の将来の夢の調査でトップにあるのが、スポーツ選手、警察官、消防隊員、保育士、医師など人のためや努力が基の職業で占められている。挫折することも当然あるし、目標が変わっても、またその努力を続けることによって自分の生活を得てほしい。大人は、そういった努力が実る社会が続く「努力」をしていかなければならない。(緑)

2025年4月1日号
■職場のアイウエオ
4月は学校や仕事の年度の始まり。夢と希望と不安を胸に、新入生や新入社員が活動を始める季節だ。そんな彼らに声援と同時に現実の厳しさも伝えるようにしている▼特に就職した彼らには、職場や仕事は楽しいだけの遊園地ではないことを伝える。だから嫌なこともある。給料をいただくことは、仕事の結果に責任を持つこと。そして車の運転と同じで急発進や全力疾走をせず、急がず、焦らず、ゆっくり、先輩から学ぶこと。頑張り過ぎて心身ともにダウンし、5月病にならないためにも、と▼また仕事以上に大事なのが、職場での言葉遣いや態度。そんなことは仕事と関係ないのではといわれれば確かにその通り。しかし仕事ではないそうしたことが、人物評価の基準になっているのも事実▼自坊の修養道場では友だちづくりの秘訣として「アイウエオ」運動を教えている。アは挨拶のア。人と出会ったらまず挨拶する。それも先手必勝。イはイキイキ生きるのイ。イキイキしている人は側にいるだけで気持ちが良いもの。ウは歌声のウ。どんなときでも鼻歌を歌える人は強い人。エは笑顔のエ。笑顔は世界共通の無言の挨拶。そしてオはおおらかのオ。物事を長い目で見るおおらかな余裕の心。初めての職場で会う仲間や先輩に、この「アイウエオ」を実践してくださいと教えている。 (義)




















