鬼面仏心
2025年5月1日号
■タイパとは?
テレビの2時間ドラマ・サスペンスが好きだ。最後にあっと驚く犯人が出てくると「そーか!」と感心する。しかしそんな番組を好まない人もいる。Z世代といわれる人はコスパ(コストパフォーマンス)ではなくタイパ(タイムパフォーマンス)を重視するのだとか。最後に犯人が判明するつくりは好まないそうだ。時間を大切にするのでネタバレもОKらしい。落語のオチや物語の結末を先に知って、なにが面白いのかと思ってしまう▼タイパが悪いものとして読書がある。1冊の本を読めば、1日や2日はゆうにかかるが、私には贅沢な時間だと感じる。のんびり行く旅も好きだ。読書なら、これはと思うところを何度も読み返す。旅の途中では寄り道をしてみる。そこに人生の妙味があるように思う▼一見無駄な時間でも、そこで得たものが後々役立ったことも多々あった。ということは、のんびりゆっくりもまた、結果としてタイパに通じるということだ。時間を節約して得たものが役に立たない薄っぺらな知識や経験になったとしたら、結局ムダな時間を過ごしたことになる。そう考えるとなにがタイパだかわからなくなる▼日蓮聖人は「時」をとても大切にされた。時の使い方とともにタイミングも大事だ。人それぞれに平等にある「時」。それを有効に使う真のタイパは、それぞれの生き方のなかにある。(友)




















