鬼面仏心
2018年1月20日号
AI(人口知能)がいろんな分野で
AI(人口知能)がいろんな分野で大活躍している。人間同様の知能を持ち、人間のできない危険な仕事や、人の嫌がる作業を行い、すでに介護や医療、そして災害現場などで実用化され、素晴らしい成果を上げている。その恩恵は計り知れないという▼以前「2番だっていいじゃないか」で話題になったスーパーコンピューター(スパコン)。富士通が開発した「京」は、1秒間に1京回の演算ができるという。1京回の演算とは、地上70億の人間が24時間休まずに、1秒に1回のペースで計算したとして、約17日かかる計算を、「京」はたったの1秒で行うというのだ。AIの計算能力はすでに人間の知能を超えており、将棋や碁はもはやスパコンに敵わないという。間もなく人間の脳が行うすべての「知的能力」をコンピューターは超えるだろうと予言。そして「人間の能力を超えたスパコンが、自らの手でより優秀な知的マシンを設計したら?」と、科学者は近未来の世界を危惧している▼AIはスマホやパソコンなどといった形で、すでに私たちの日常生活に深く浸透している。AIの持つ利便性を認めた上で、なおかつその裏に潜む危険を忘れてはならない。人間が人間であるための「智」を大事にしたい。仮にもロボットが世界を支配し、人間がロボットに動かされるといったことは、SF映画の世界だけにしなくては。(義)
2018年1月10日号
「遊んでばかりいないで宿題しなさいっ!」
「遊んでばかりいないで宿題しなさいっ!」 子どもの頃よく見ていたテレビアニメに、ガミガミとよく怒る母親が登場していた。あんなママ本当にいるの? と思っていたが、まさか自分が将来そうなろうとは思いもしなかった。 毎日がこんな調子だと、テスト前はてんやわんやだ▼ある日、娘が算数の問題を前に「どうせできないよ、いい点なんか無理。」やけになっていた。見かねて「いい点数が目的なんじゃないよ。諦めないことが大切。やるだけやったらそれでいいの」「じゃあ何点でも怒られないね♪」「そうじゃないでしょっ!」。脳天気な娘の言葉に思わずツノがはえる。 結局点数にこだわっているのは私自身。〝点数がすべてじゃない〟自分に言い聞かせていたのだ▼そして1週間後、「聞いて! ちかちゃん満点♪ ひで君は漢字賞♪ すごいでしょ!」嬉しそうにお友だちの話をしている。「で、自分はどうだったの?」「えっ」その苦笑いから推して知るべし▼すると横からばぁばの一言。「いいじゃないの成績なんて。お友だちの点数を素直に喜べることのほうが大事♪」。そう、私を育てたのはこの母。いつも子どもの可能性を信じてくれていた。私もいつかこんな母親になれるのだろうか▼「お外で遊んでくる♪」「宿題がまだでしょっ!!」。今日も懲りない2人組、いつか仏さまから大きな花丸をもらえるように親子で成長していこう。(蛙)
2018年1月1日号
福岡市内13ヵ寺の団体参拝がやってくる。
福岡市内13ヵ寺の団体参拝がやってくる。しかも、自坊の檀家数に匹敵する人数である。当方はそんな人数をいっぺんに収容できるか不安になるくらいの小さな寺である。あわてて総代世話人会を開いた。コンセプトは「人間力でおもてなし」。参道を挟んで並ぶうちわ太鼓でお出迎え、参詣者のお題目と重なり、「何でウチみたいなお寺へ…」と戸惑っていた檀信徒も「よかったネ。日蓮宗は1つだネ」と大感激! 同信の一体感を味わった▼ハワイ開教100周年の記念団参の時、「モアナルア・ガーデン」に立ち寄った。お目当てはモンキーポッドの樹。日本人には「この木なんの木、気になる木」のCMで有名な「日立の樹」だ。家電からソフト開発まで、日立グループは世界で900社・35万人を抱える。この大樹は幅広い産業を持つ集団に共有できる価値観「みんながあつまる」「なんともふしぎな」「見たことのない花を咲かせる」の象徴なのだ▼福岡市内の団参後、各寺に送る集合写真に「檀信徒と共にある田舎のお寺のあり方をありのままに見ていただけたと存じます。それぞれのお寺が、それぞれの場所で、それぞれのやり方で布教していく。それが宗門ではないでしょうか」とメッセージを添えた▼日蓮宗の象徴は日蓮聖人である。降誕800年までにどのくらい裾野を拡げていけるのか? 平成30年新春に考えた。(雅)