鬼面仏心

2014年10月20日号

この前会ったのはいつだったかな。

「この前会ったのはいつだったかな。あの時から見ると、君もだいぶ年取ってきたようだね」。久方に出会った旧友。聞き捨てならぬ言葉に、少なからずショックを受けた▼まだそうは年取っていない。毎日歯を磨きながら見る鏡の自分に、そう評価を下してきた。しかし、日々年を取るのは自然の摂理というべきで、4年前と比べれば変化の跡が見られるのは当たり前のことである▼そう思ってみると、友人の髪も白くなり、頭部全体の透明度が高くなっているではないか。「お互いさま…」心の中でそっと呟く▼判っているようで実は一番わからないのが自分のこととはよく言われることだ。自分を見つめるには鏡に頼るほかない▼ところで時々刻々に変化するのは、顔つきや体力足腰だけではない。地位や財を得れば顔つき態度まで変わるのが、人の常だ。善く変わるのか、悪くなっていくのか。これもまた鏡に照らして見るしかないのである。ところが、世の中見渡してみると良い鏡を持っていない人たちがなんと多いことか。醜くゆがんだ己が姿に何の違和感も抱かないらしい▼法華経という明鏡に照らせとは宗祖のお言葉だが、法華経すなわち御仏に見られて恥ずかしくない生き方をすることが求められているのである。もし、仏に見せるだけの勇気がないなら、せめて「変わったな」と言ってくれる友人を持つべきではあるまいか。

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2014年10月10日号

会議などで上京した時を利用して、東京の姉夫婦

会議などで上京した時を利用して、東京の姉夫婦と暮らしている母と、在京の弟、子どもたちと一緒に食事をする。年に3、4回だろうか▼母は大正生まれで今年満96歳になる。さすがに歩くのは大変そうだが、外で食事を共にできるほど元気だからありがたい。養子にきた身としては姉夫婦にも感謝である▼ふと、あと何回会えるのだろうかと考えた。欲張ってあと5年であろうか。母方の祖母は100歳を超えていたから、長命の血筋と期待している。年3回として、1回の食事に4時間、15回だと60時間。日数にすれば2日間半。親孝行の余命はおよそ3日ということになる。なんと少ないことであろうか▼親はいつまでも元気でいるものと子は思い、「そのうちに親孝行をしよう」「今度会ったら」と考えがちだ。気が付いたら肝心の相手がいなくなってしまうことになる。のんびりなどできない。が、さて何をしたらいいのか、なかなか浮かばない。『親が死ぬまでにしたい55のこと』(泰文堂刊)にいろいろ紹介されている。「髪を切ってあげる」「手紙を書く」など▼お祖師さまは「せめてする事なくば一日に二三度<RUBY CHAR=”笑”,”えみ”>て<RUBY CHAR=”向”,”むか”>へと也」(『上野殿御消息』)と示されている。離れているものとしては、せめて「用がなくても電話をする」ことだろうか。それ以上に、信仰の親であるお祖師さまに、報恩のお題目を忘れてはなるまい。お会式は近い。(汲)

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2014年10月1日号

介護保険の被保険者証が届いた。まだ現役のつもりで

介護保険の被保険者証が届いた。まだ現役のつもりでいる身としては複雑な思いだ。とはいえ歳をとるのは悪いことばかりではない。年金はもらえるし、重労働から解放もしてくれる▼最大の恩恵はJRのジパング倶楽部に入会できることだ。現役で活動するには大いに有り難い。先日も山形へ出かけるのに東京から新幹線に乗った。同じ車両に重須本門寺の旭日重貫首も乗っておられた。貫首のお供ができるのも、年齢のおかげだ▼その切符の手配をしているのを見た師父曰く「何だ。おまえもそんな歳か」今年90歳になった師父はジパングで全国の寺院や僧侶の集まりなどに参加している。息子がその年齢になったことに気づかないほど元気だ▼「親子でジパング」このコピー、高齢化時代に使える。尤も、元気なお年寄りは多いが、一人で旅のできる方はそれほど多くないのかもしれない。小さなキャリーバッグに荷物を詰めて颯爽と旅に出る師父を、有り難く思いながらも心配はつきない▼その師父と、いざというときのために葬儀の打ち合わせをした。僧侶だからこそできることだ。その際、師父から「おまえが先だったらどうする」と問われた。諸行無常を心得た僧侶らしい発言に納得する。ここまで来ると年齢順とは限らない。師父の元気な様子では十分にあり得ることだが、それはジパングの恩恵に充分浴してからにしたい。(寮)

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新年のご挨拶。

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