鬼面仏心
2023年6月20日号
■相乗効果
カキピーという食べ物がある。柿の種とピーナッツが一緒になったお菓子だ。人それぞれだと思うが、柿の種だけ、ピーナッツだけより一緒になったほうが美味しく感じるのではないだろうか▼違うもの同士が出会うと思いもよらぬ効果をもたらすことがある。そのような現象をケミストリー(化学反応)やシナジー(相乗効果)という。1+1が2でなく3にも4にもなることだ。1つの楽器よりオーケストラのほうが厚みがある▼昔から「水戸黄門」という時代劇が好きだった。必ず悪代官や悪家老が出てくる。この人たちの悪が弱いと不思議と面白くない。悪いほどハラハラして最後に印籠が出てきて思わず拍手をしてしまう。釣り合いの取れた組み合わせは、化学反応や相乗効果を生みやすいのかもしれない▼お釈迦さまに提婆達多といういとこがいた。提婆は九横の大難というお釈迦さまへの迫害に名を連ねる。日蓮聖人には平頼綱という幕府の役人がいて聖人を迫害した。お釈迦さまと聖人はこのライバル・敵といえる人を「善知識」と呼ぶ。彼らがいたからこそお釈迦さまは悟りを開かれ、聖人は法華経の行者となられた▼周りにどうしても気が合わない人がいたとしよう。そこでストップするのではなく、もう1歩進んで、あえて付き合ってみてはどうか。意外な相乗効果を得られるかもしれない。敬いの心を持って。 (友)