鬼面仏心

2015年5月20日号

都市に限らず地方でも孤独死が増えた

都市に限らず地方でも孤独死が増えた。家族もいない、親戚もない、友達も近所付き合いもない。そんな一人暮らしの人の死は、やがて引き取り手のない無縁仏になる。メディアはそんな現代社会を「無縁社会」と呼び、これからもっと増えるだろうと予測する▼一神教では、人間は神により「個人」として創られたと説く。そこから個人の尊重や個人主義、民主主義といったことが生まれた。しかし仏教は、この世のあらゆる物事や現象は、個として存在するのではなく、互いに関係しあい、影響しあって成立するという「縁起」を説く。個は大事だが、それは全体の中の個で、そのため仏教は全体主義といわれる▼戦後の日本はそれまで人間を縛ってきた家や家族、地域や国、または古いしきたりや因習といったことから解放し、個人の自由を重視するようになった。しかし、やがてそれは「自分だけが大事」という行き過ぎた個人主義、つまり利己主義に変貌。孤独死や無縁仏、そして無縁社会とは、この個人主義の延長線上に生まれた現象なのでは?▼法華経の一念三千の教え、日蓮聖人の『立正安国論』、そして宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という思想は、「縁起」から生まれた。「無縁社会」とは「縁起」を説く仏教とは対極の社会で、それは仏教の衰退を意味する哀しい現象といえよう。 (義)

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2015年5月10日号

身延山久遠寺境内のライブカメラ映像が

身延山久遠寺境内のライブカメラ映像が賑わいだす季節…待ちにまった桜の開花だ。今年『日本経済新聞』の「桜をめでるのにお薦め東西20ヵ所のお寺」東日本で堂々の第一位に輝いた身延山。皆に愛される桜を一度は見てみたい♪と春の参拝旅行が決定した▼4月の初旬、お山は満開の桜で淡いピンクに染まっていた。「満開の桜より大勢の人で賑わうお山を見られたことが嬉しいね」と住職。これだけの人が桜の見物客で終わってしまうのは忍びない。その時、本堂前で観光客に桜や身延山の説明を丁寧にされているお上人さんが目に入った。話を聴いていた女性は目を輝かせて「今度はゆっくりお参りにきます!」と言った。観光客が参拝者になる瞬間だった▼身延山は僧侶はもちろん、町全体が深い信仰と共に人々を迎えてくれる山。仏具屋さんや喫茶店でも仏さまの言葉が聴ける。そう、ここは風も川も木も草もお題目を唱える山。町中のみんなが布教師と言ってもいい▼来年も桜が見たい。あのお上人さんに会いたい。今度は本堂でゆっくり手を合わせたい。また美味しいお饅頭を買って帰りたい。小さなきっかけが次の参拝に繋がっていく▼昨夜4歳の娘が積木で遊んでいた。「お城?」と聞くと「みのぶたんだよ♪」。見れば畳の上に色とりどりの伽藍が建ち並んでいた。皆を愛してくれるお山は皆にも愛される。いつまでも愛され続けるお山であってほしい。(蛙)

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2015年5月1日号

「香藝院爽進日壽居士」2月21日に59歳で亡くなった

「香藝院爽進日壽居士」2月21日に59歳で亡くなった歌舞伎の十世坂東三津五郎(大和屋)の法号である。香り立つような芸風を表している。5年前身延山久遠寺法主内野日総猊下の管長シュウニンの御祝に祝舞で華を添えた颯爽たる三津五郎丈の姿を想い出す宗門人も多いだろう▼襲名披露興行で観た通称「馬盥の光秀」(時今也桔梗旗揚)は格別であった。法華に縁ある本能寺の場で主君春永(織田信長)に恥辱を受けた光秀が、謀叛の心を固めていくその心理描写に圧倒された。また若手育成に手腕を発揮していただけに惜しい死であった▼「伝統」という言葉に、長い歴史を通して培い伝えてきた風習や制度だけでなく、信仰や学問・芸術も含まれることを知った。その中心をなす精神的在り方を問う言葉なのだ▼日蓮宗では700遠忌前進座の「日蓮」を全国各地で上演し、立教開宗750年では国立文楽劇場の「日蓮聖人御法海」の復活興行を支援し、来るべき御降誕800年には「スーパー歌舞伎」を公演することが決まったと聞く。伝統を守りながらも今という時代を反映させていく新しい演出法を楽しみに待とう▼京都に眼を向ければ6月2日に妙顯寺で大光琳祭が行われる。本阿弥光悦の法華村から始まる法華文化の華と謳われる尾形光琳の没後300年を記念するもので、協賛して本法寺も宝物を公開するという▼伝統は伝灯(教えを伝えていく)に通じる。信仰と芸術を共に伝える企画を楽しみにしている。(雅)

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  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

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