鬼面仏心
2019年10月10日号
■においの効力
浜松医科大が、生まれたばかりの赤ちゃんの頭のにおいは「甘いミルクのよう」で、ストレスの軽減や虐待防止の心理的効果もあると発表した。これが製品化され全国に広まることを期待したい▼先日、NHKのテレビ番組で、仏さまはいつでも救いの発信準備をしている。お寺は改めて仏さまを求めるポイントとして機能すべきであると言っていた▼寺の働きを「動」と「静」に分けてみた。人口の多い都市ではお寺でコンサートや寺フェスなどを行って、今までお寺に来たことのない人が集まってきている(動的働き)。では人口の少ない街ではどうしたらよいのであろうか▼最近とみに墓仕舞い、散骨、手元供養などお骨を弔う方法に多様性が出てきた。諸事情もあろうがお墓が遠い。子どもに迷惑をかけたくないなどが理由のようだ。が、年に1回でもいいからお墓参りをする、自分のルーツはここにあると確認することがどれだけ自分の精神的支えになるか判らない。精神の病んでいる人もお墓参りで、症状が軽くなるという。寺の役割の1つといえる(静的働き)。その発信の仕方が求められる▼お盆にお墓で読経が済み合掌して挨拶した時、若い施主が合掌して頭を下げてくれた。今どきの若い者はといつの時代も言われるが、そんなことはない。親、先祖の墓参りということがそうさせたのだろうか。互いに拝みあうことはどんな人の心も開く力がある。合掌のにおいが全国に広がることを願うばかりである。(汲)