鬼面仏心
2025年7月1日号
■キャッチコミュ力
テレビのレストランなどの食事のレポートで「やさしい味」という言葉をよく聞く。しかし甘い・辛い・酸っぱいなどなら分かるが私にはその言葉がピンとこない。ちなみに「東京ドーム5個分の広さ」も同じだ▼コミュニケーションも直接会って話をすると表情などの要素でスムーズだ。電話でも声色が物事を伝えやすくする。しかし、今はSNSやSMS、メールなどの短い文章でのやり取りが多くなっている。便利だが、ささいなことですれ違いが起き、トラブルになることもある。伝えることは難しいからだ▼日蓮聖人はたいへん筆まめで、老若男女さまざまな人たちから供養の品が送られてくると、そのたびにお手紙を書かれている。いろいろな故事や譬喩を用いて諭されたり、注意されたりして寄り添われている▼コミュニケーション能力を高めることが現代では求められている。それが、人間関係、仕事、問題解決につながるからだ。要するに伝える力をつけよ、ということだ。しかし、考えてみてほしい。自分の伝える力が発達しても本当にそれだけでいいのだろうか。否、心をおおらかにして相手の意思をキャッチする能力を高めることも大事だろう。それを仏教では慈悲という。寄り添いでもある。会っての会話、電話、SNS、手で書くお手紙。なんであろうと、自分の主張だけではなく慈悲の心を持とう。 (友)




















