鬼面仏心
2024年12月20日号
■いのちに合掌
ホテルの自動チェックイン機の前に立ち、予約時にスマホで受信したQRコードを読み込ませて部屋のカードキーを受け取る。何回やってもドキドキしながらの作業だ▼人の手に代わって仕事をこなすさまざまな機器の登場により、世の中の仕組みがどんどん変わってきた。便利ではあるが、慣れないものにとっては困惑する世の中になってきた▼自分を取りこぼして先に進んでいく世の中の仕組みに対して不満を持つ人も出てくる。かくいう筆者もセルフサービスのガソリンスタンドには行かないと決めている。店のスタッフに教えてもらえばいいようなものだが、それなら客にさせなくてもいいではないかと考えてしまう▼自分ができないことは他の所為にし、逆に自分の思惑を他に押しつけようとする自己本位の考え方は、多少なりとも誰の心にも潜んでいるようだ▼このような考え方の行き着く先は争いしかない。これが個人レベルのことならまだしも、国の舵取りをする権力者となると、世界はどうなっていくことか。国と国が互いに自国の思惑を相手国に押しつけあう。今、世界のあちこちで繰り広げられている紛争の元凶がこれだ▼この世のすべての存在、すべてのいのちは互いに支え合って生きている。支えがなくなれば自分も倒れる。押しつけるのではなく、支え合う者同志互いに助け合わねばならない。 (直)

2024年12月1日号
■10円玉がない!
スマホを利用して自分のスケジュールを管理している人が多い。病院で検査を受けたとき、スマホの電源が突然入らなくなった。次の予約を取るのにスケジュールが分からなかったため、公衆電話から家に連絡しようと思ったが、そんなときに限ってお札しかない。仕方なくコンビニで、欲しくもないガムを買って小銭を手に入れた。そのときほど10円玉の有り難さを感じたことはなかった▼10円玉と千円札を比べたとき、購買力だけを見て、千円札には10円玉の100倍も価値があると考えがちだ。しかし10円玉にできて千円札や1万円札にできない仕事もあるのだと再認識させられた。「欲しくもないガム」と書いたが、そのガムがあったおかげで10円玉を手に入れられ、無事に病院の予約を入れることができた。世の中には役に立たないものなどありはしない。晴れの日の傘も、真夏のストーブも、いま役に立っていなくても、じっと出番を待っているのだ▼役に立つ立たないとか損得だけでものごとを判断する。そんな人間の姿を仏さまは戒める。その仏さまのみ心に従って日蓮宗が提唱する理念が「いのちに合掌」。すべての存在を敬い、感謝することだ。「自分なんて世の中の何の役にも立っていない」などと卑下することはない。「いのちに合掌」する。それだけであなたは十分世の中に役立っている。 (友)




















