鬼面仏心
2025年3月1日号
■止暇断眠を考える
昨年、前人未到の大記録50本塁打―50盗塁を達成した大谷翔平選手は、何より睡眠を重視していたことが話題となった。ワールドシリーズ制覇に貢献し次々と夢を実現させる彼の偉業は、私たちの睡眠に対する意識も再考させたのではないか▼もっとも、日本人の平均睡眠時間は世界ワーストといわれるほど短いそうである。「寝る間を削らざるを得ない」労働環境や、スマホ依存などが要因ならば改善が急がれよう。漫然とした寝不足は仕事の判断ミス、ひいては大事故を招く▼「我が門家は夜は眠を断ち昼は暇を止めて之を案ぜよ」と日蓮聖人は訓戒されたが、不眠不休を勧める文と誤解してはならない。前段を拝すに主題は明確で、仏法の浅深を見極めることにある。末文はあえて「志有らん諸人は」と書添え、重ねて門下へ呼び掛けられた。「成すべき志のために時間を使いなさい」との祖意であって、我らの寝不足の多くは似て非なる「止暇断眠」ではあるまいか。大谷選手は、己の志を遂げんがため「止暇安眠」を選択した。私たちが再考すべきは眠や暇の長短ではなく、志の有無にありそうだ▼新年度も近い。活躍を期待される新社会人や学生さんは、夜なべの準備に余念ない時節だろう。「万歳悔ゆること」なきよう。我が大志を見定めたなら、今日は早めに布団に入り、明日の大きな夢を掴んでほしい。 (子)




















