鬼面仏心

2022年6月20日号

■命懸け

麦畑の中に巣を作るヒバリは、巣を狙う外敵からヒナを守るために、自分が囮となって、巣から離れたところへ鷹などをおびき出しヒナを救うという。しくじれば自分が捕まる危険な、命懸けの行為だ。小鳥でも守るべきもののためには自分の命を懸けるのである▼ウクライナへロシアが軍事侵攻を始めてから3ヵ月。どれだけの尊い命が失われたことか。一度失えば二度と取り戻すことができないのが命だ。その掛替えのない命を互いに奪い合っている状態が現実に起こっているのだ。まさに今この瞬間にも彼らは自らの命を的にして、相手の命を狙う獣と化しているのである▼大切な命。何をおいても大切なものなら、国民の生命を守るためウクライナは降伏すべきではないかという声を聞く。しかしその命よりももっと大切なものがあるから戦うのである▼我が宗門の歴史をたどれば、法難を怖れることなく仏国土実現のためにご生涯を捧げられた日蓮聖人、またその後に続き自らの命を懸けて法華経の信仰を貫いた先師や殉教の徒を見ることができる。守るべき大切なもののために自身の命を懸けた人たちだ▼ロシアの暴挙により、今も戦場で家族や同朋、国のために命懸けで戦う人たちがいる。しかし武力で戦争は終結しない。真の世界平和、聖人の願い達成のために私たちは何をすべきか。仏から問われている。(直)

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2022年6月10日号

■手段と目的

レコードプレーヤーが修理から戻ってきた。久しぶりに聞くレコードプレーヤーの音は新鮮だった。CDやネットからのダウンロードとは一味違った音のよさを感じた。CDやダウンロードは容量の圧縮の関係で高周波をカットしている。その高周波かノイズが関係していてレコードのほうがまろやかに聞こえるのが不思議だ▼デジタルに対するアナログの最たるものは紙だ。ネットニュースや電子書籍などデジタル化によって新聞や本が駆逐されつつあるが、紙なりのよさもある。なくせない紙が世の中にはたくさんある。たとえば日蓮宗徒の信仰の柱となる日蓮聖人が書かれた膨大な数のご真蹟。紙と墨というアナログな記録媒体が700年以上も長く保存されているのには驚かされる。そのお陰で私たちは今も日蓮聖人の大切な御心に触れることができる。先人のご真蹟護持に捧げた努力に改めて敬意を表したい▼さて、実はアナログの世の中であろうが、デジタルの世の中になろうが、それほど問題ではない。問題は受け手にある。例えば、ご遺文を本で読んでもスマホで読んでも日蓮聖人の御心は変わるはずはない。大事なことはそこに込められた聖人の御心であり、読み手の心なのだ。紙やデータを未来へつないでいくのは重要な手段ではある。だが真の目的は聖人の御心をつないでいくことと肝に銘じよう。(友)

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2022年5月20日号

■天災・人災

東日本大震災から11年だが、変わらず日本の各地で地震が頻発している。3月16日に福島県沖で発生した最大震度6強の地震。復興半ばの福島県や宮城県では、3・11を超える大きな被害を受けた地域もあるという。度重なる災害に「天災だから」と語る被災者が気の毒だ。地震は天災。私たちにはどうしようもない。できるのは被災者を励まし、復興支援をすることだ▼そんな中、大国ロシアが突然ウクライナに侵攻。破壊され瓦礫と化した街や建物。泣き叫ぶ子ども、国外に逃げる人、地下室に身を隠す人。そして残忍な虐殺が。テレビはそんな惨状を伝える▼戦争は人災だ。しかも人間が犯す最大の犯罪だ。いかなる理由があろうと犯してはならない大悪だ。そして戦争の被害者は戦争を始めた政府高官や将軍ではない。常に罪もない一般国民だ。ウクライナの1日も早い平和を願うと共に、国のために戦う彼らの勇気に声援を送りたい▼戦後77年。平和と安全に恵まれた日本。しかしこんな時代にも、力で相手を屈服させようとする国が存在することを忘れてはならない。地下室や核シェルターのいらない平和な日本でいるためにどうすればよいのか。地震という天災に備えると共に、侵略や戦争という人災を起こさないための備えも重要なのでは。日蓮聖人の『立正安国論』を、もう一度学びなおさなくてはと思う。(義)

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    中尾堯著
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  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
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