2022年6月10日
■手段と目的
レコードプレーヤーが修理から戻ってきた。久しぶりに聞くレコードプレーヤーの音は新鮮だった。CDやネットからのダウンロードとは一味違った音のよさを感じた。CDやダウンロードは容量の圧縮の関係で高周波をカットしている。その高周波かノイズが関係していてレコードのほうがまろやかに聞こえるのが不思議だ▼デジタルに対するアナログの最たるものは紙だ。ネットニュースや電子書籍などデジタル化によって新聞や本が駆逐されつつあるが、紙なりのよさもある。なくせない紙が世の中にはたくさんある。たとえば日蓮宗徒の信仰の柱となる日蓮聖人が書かれた膨大な数のご真蹟。紙と墨というアナログな記録媒体が700年以上も長く保存されているのには驚かされる。そのお陰で私たちは今も日蓮聖人の大切な御心に触れることができる。先人のご真蹟護持に捧げた努力に改めて敬意を表したい▼さて、実はアナログの世の中であろうが、デジタルの世の中になろうが、それほど問題ではない。問題は受け手にある。例えば、ご遺文を本で読んでもスマホで読んでも日蓮聖人の御心は変わるはずはない。大事なことはそこに込められた聖人の御心であり、読み手の心なのだ。紙やデータを未来へつないでいくのは重要な手段ではある。だが真の目的は聖人の御心をつないでいくことと肝に銘じよう。(友)