2025年10月1日
■恩人を送る
僧侶としての生き方に、啓示をくれたYさんが亡くなった▼日蓮宗寺院の住職としての責務は、日蓮聖人が感得した法華経の教えを弘めることと、教えを信じる檀信徒を守ることにある。と同時に、宗教法人の代表役員として、寺の維持・管理・運営する役割がある▼40年前の話だ。税務署から呼び出しがあり、庫裡を建てた建築会社の税務調査に入った職員から、寄付の財務内容について問われた。建築の会計に関与せず、檀家総代に丸投げしていた20代の新米住職は、何も答えられずにしどろもどろ▼その時「住職どうしました」と声をかけてくれたのが、当時税務署の総務課長をしていた檀徒のYさん。的確な助言に続き寺院の特別税務講習が始まった。最後に「檀家だからお寺の事情はわかる。小さなお寺で食べていくのは大変じゃろう。前住職は学校の先生をしていた。あんたが僧侶一本でいきたいというなら、坊さんの世界にある資格を取ったらどうね。総代に話しとくから」▼そこから私の修行が始まった。加行所3回、布教院卒業、声明師にもなった。そのため寺を留守にすることが増えた。それを不満とする人もいたが、Yさんが常に後ろ盾になってくれた。税務署退職後は寺の会計総代として尽力。小さなお寺が、そして私が今日あるのは、Yさんのおかげだ。万感の思いを込めて葬儀の導師を務めた。 (雅)




















