2022年11月20日
■出会い・別れ
朝勤を終えてお堂から出ると、見知らぬ犬がちょこんと座っており、まるでお詣りしている風情である。どこの犬だろうか首輪がある。妻が朝ご飯の残りを分け与えると、嬉しそうに平らげた。それからはどこへ行くのも彼女の後をついて歩く▼感心したことに決して家の中へは上がって来ない。躾が行き届いているのだろう。おとなしいし、いずれ飼い主が来るだろうからと、そのままにしていたが、連れ合いにはことのほかなついていた。彼女が奥の部屋へ行くと、外から廻って奥の廊下へやって来るほどで、一時も離れようとしない▼半月ほど経って、愛想がいいのでアイソと名付けた。「飼い主が現れなかったらうちで飼いましょうよ」と話していた矢先、飼い主が現れた。よかった、と胸をなで下ろしたものの、いなくなった後の寂しさは今もって忘れられない。相手が犬であれ人であれ、あるいは品物であっても、別れは心を揺さぶる。心の繋がりを断たれた思いがする▼今この時にも戦火の中、悲しい「別れ」によって心に傷を負う人は後を絶たない。そればかりか、さらにまた新たな火種を燃やそうとする輩までが見聞きされる昨今である。戦争が人の為す業であるなら、また必ずや人の力によって終結させることができるはずだ。決して諦めることなく、立正安国・世界平和を訴え続けていかなくてはならない。(直)