オピニオン

2022年4月10日

■明日はきっと

桜の草木染めは桜の花が咲く前の枝から作られるそうだ。てっきり桜の花びらから、あの淡いピンク色が作られると思っていたので、意外だった。しかし桜の花を咲かせるために夏・秋・冬と一生懸命に準備してきた枝から色を作るとは素晴らしい。人も同じではないだろうか。今が不遇であったとしても、準備している時期だと思えば困難にも耐えられるはずだ▼1月に高校2年生の男子が東大正門前で3人を切りつけるという事件が起きた。彼は高2になって成績が落ちたのを苦にし、誰かを殺して自殺するつもりだったという。今は準備期間で、いつかジャンプできる時が来ると自分を信じて欲しかった▼コロナ禍で多くの人が閉塞感を持ってしまったことが背景にあるのかもしれない。「今に見ていろ俺だって」というCMが昔あった。今が将来に希望を持ちづらい時代であるのなら悲しいが、どうにか打破していかなければならない▼日蓮聖人は大難四ヵ度、小難数知れずという困難だらけの中でも、決して諦めずに法華経を弘め続けてきた。「法華経を信ずる人は冬の如し、冬は必ず春となる」と仰られ、法華経を信仰する人は将来必ず救われると苦しむ人びとを勇気づけられた。こんな時代だからこそ、私たちお題目を唱える者は、聖人がされたように今日を嘆く人に明日の希望を語り続けていかなくてはならない。(友)

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