2021年11月20日
■ケガの功名
コロナ禍で大揺れに揺れた教区開催の降誕800年慶讃法要。それぞれの教区が感染予防に苦慮し、無観客ならぬ無檀信徒の中で、智恵と工夫を凝らし、異体同心の協力の下、祖恩報謝の誠を込めて行われた。成功の裏には管長猊下のご理解とご協力が大きかったといえる▼この慶讃教区大会で特筆すべきは、慶讃法要とは別に唱題行が必修条件として取り入れられたことだ。日蓮聖人は「お題目を伝えた」というが、正しくは「お題目を唱えることを伝えた」のだ。「二陣三陣続けよかし」と言われた日蓮聖人の降誕800年。その日蓮聖人がもっとも喜ばれることは、800年後の私たちが至心にお題目を唱える姿をお見せすることではないだろうか。コロナ禍のため残念ながら檀信徒とともにお唱えすることができなかった唱題行。しかしそのために行われたオンラインにより、世界中の有縁の人びとと唱題行ができたのは新しい発見といえる▼日蓮聖人降誕以来800年。これまで行われてきた言説や文書による伝道方法に、オンラインによる伝道という新しい手法が生まれたのは、コロナ禍のケガの功名といえよう。慶讃本部が行っている「オンライン唱題行」には、常連の参加者が増えているという。僧侶・檀信徒ともに柔軟に新しい技法を受け入れ、活用できるように学びを深めていくことが重要だろう。 (義)