2018年9月20日
民主主義とは、基本的に多数決が原則だ。
民主主義とは、基本的に多数決が原則だ。その意味では数が大事。経済の世界同じだ。いかに多くの利益を上げるかが重要。テレビの視聴率、いろんなイベントの集客数など、数が価値基準となっている。それはある意味で正しい▼こうした、数量で物事の成否を判断するということが、私たちの思考のあらゆる分野に浸透。知らないうちに、ものごとの是非善悪までも数で判断しがちな私たち▼寺院や管区、そして宗門で行う各種信行会や研修会。内容が真面目であればあるほど参加者が少ないというのが主催者の悩みだ。そのため心ならずも〈人寄せパンダ的〉な要素を取り入れてしまう。数が成否の基準になっているからだ▼良い教化とは、量と共に質の成果が大事だ。しかし質・量共に成果を上げる教化はなかなか難しい。2500年前、お釈迦さまは8万4000の法を説いたという。対象となった人は1宗1派を率いる優秀な宗教者や学者から自分の名前も忘れるような愚鈍な人。さらに王侯貴族のような人から貧しい人。老若男女、いろんな人びとに法を説き、教化をされた。お釈迦さまは質・量共に最高の教化者といえる▼何事も数や量が大事な現代。しかし宗教の世界だけは量より質を大事にしたい。量の成果を期待する余り、大衆に媚びたり、仏祖の教えという質をゆがめてはいけない。参加者がたった1人であっても、その数に動ぜず、全力で本物の法を説くことが大事なのでは。参加者の数ばかりを気にする最近の教化のあり方に、いささか疑問を感じる。(義)