2018年2月1日
今年もウイーンでのニューイヤー・コンサートで
今年もウイーンでのニューイヤー・コンサートで幕を開けた。これを聴かないと年が明けた気がしない。プロ中のプロによる一流の演奏を世界に届けるのは、進歩した放送技術の賜だ。それにも増して見事なのは絶妙なカメラワークと音響技術だ▼毎年のことだが日本人の聴衆も多く見られた。羨望の眼差しを禁じ得なかったのは事実だ。いやいや、暖かい部屋の中で好きな酒を片手に、ゆっくり音楽を聴ける喜びは大きい。まずは感謝だ▼大晦日には、恒例の、ベートーベンの交響曲第九番を、今年も自身が合唱で出演した静岡交響楽団定期演奏会の録画で堪能した。プロの楽団とアマチュアの合唱であるが、十年以上レッスンを受けている合唱団も素晴らしいできばえだった。同じような合唱団はほかにも多く、全国でおそらく百回以上のコンサートが開かれたことだろう▼数年前のコンサートではドイツ人が指揮を執った。本番前のゲネプロでの彼の話がよかった。かつて東西に分断されていたドイツが統一されたとき、その象徴とも言うべき、壊されたベルリンの壁の両側でこの「第九」が大合唱されたそうだ▼ウイーンでのコンサートには世界中の人たちが来ていた。誰もが同じ喜びをかみしめている。こんな人たちが、戦争など起こすはずはないと、安堵を得た▼国内でも貧困問題に加え、未だに仮設住宅で暮らしておられる多くの方のご苦労もある。正に四苦八苦だ。世界中の誰もが安心して暮らせる日を待ち望む(寮)