2015年12月10日
方言は、温かみや癒され感があっていいと思う人は多い
方言は、温かみや癒され感があっていいと思う人は多い。「ふるさとの訛りなつかし停車場の/人ごみの中にそを聴きにゆく」(石川啄木)。啄木ではないがふるさとを離れ、時間の経過とともにふるさとの訛り言葉が無性に懐かしく感じてくる▼長く故郷を離れていると故郷の言葉が聞き取れなかったり、すぐに出てこなかったりもする。が、多少時間が掛かっても蘇ってくる。とは言うものの「兄貴の津軽弁訛ってネ~が」と。聞きようによってはフランス語のように聞こえる津軽弁だが、お国言葉が微妙に違うコラム子である▼福島県飯館村の「までいライフ」を御存じだろうか。「までい」とは丁寧という東北地方の方言だ。福島第一原発の事故で全村が計画的避難区域の指定を受けた飯館村では、震災前から菅野典雄村長が飯館流スローライフとして、「までい」な心で暮らそうと提唱している。「までい」は「真手」と書き、お茶を出すのも、物を受け取るのにも両手を差し伸べて丁寧にするということ。手間を惜しまず、心を込めてことを行うということで、もう一度原点に戻ってふるさとの暮らしを立て直したいという▼NHKの朝ドラ「まれ」で漆職人の夫が「いい器とは作り手の中味なんだな。自分を器に込める。それが人の心を動かすんだ」といっていた▼気持ちを込めた合掌で人に接しているのだろうか。すべてに「までい」にしないと直ぐに見透かされてしまう。(汲)