オピニオン

2023年10月1日

■遠く離れても…

葬儀の依頼を受けて駆けつけた家には、54歳で急死したご主人が眠っていた▼枕経の後、涙をこらえて振る舞う息子さんと葬儀の打ち合わせをした。その後、故人の奥さんがお茶とお菓子を出してくれた。故人の故郷・長崎の「おたくさ」というアジサイをかたどった焼き菓子だった。「旧盆に1人暮らしの母を心配して帰郷したときの主人のお土産です」という。故人にとって最後の帰郷であり、最後の家族への土産だと思うとこみ上げてくるものがあった▼翌日この「おたくさ」を元にして通夜説教をした。おたくさは江戸時代の長崎オランダ商館の医師・シーボルトに由来する。一時帰国の際、国禁の日本地図を持ち出そうとして国外追放になった彼は、日本に残した妻「お滝さん」を「おたくさん」と呼んでいた。植物学者でもある彼は、日本から持ち帰ったアジサイに、会えなくなった妻の名から「オタクサ」という学名を付けた。花言葉は「離れても思っている辛抱強い愛」だ▼枕経の時のおたくさを示し、名前の由来と花言葉を告げた。故人を想い出すとき、自分のなかで故人は確かに生きていると感じてほしいと話した。子どもたちには日蓮聖人のご遺文『忘持経事』の言葉を通して、人の身体は父母の血肉を分けたものだと伝えた。たとえ遠く離れて会えなくなってしまっても、人はつながり続ける。(雅)

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