2023年4月20日
■仏さまからの贈物
「その時に龍女、一つの宝珠有り、価値三千大千世界なり。持って以て仏にたてまつる。仏即ち之を受けたもう」▼『法華経』の提婆達多品には龍女が釈尊に宝珠を献上する場面が説かれている。龍女が持っていた宝珠は三千大千世界の価値がある。すなわち「世の中の全ての人は仏になることができる功徳を持っている」ことを示している。龍女の宝珠は、私たちの中の「仏性」であり、法華経に説かれる龍女の即身成仏は、全ての人びとが仏に成ることができる証なのである▼世間では、特別な才能を持つ人、天才を「ギフテッド」というが、これは天から与えられた特別な贈り物という意味でもある。ただギフテッドは特別な能力で、皆が具えられるものではない。しかし私たちは仏さまからそれとは違うギフトをいただいている。それが「仏性」だ。仏性は私たちの中に平等に具わっているのである▼「女身」「畜身」「幼稚」の龍女が、その身そのままの成仏=即身成仏を示したことは、例えどのような人びとでも、自分の生き方によって必ず幸せになれると教えている。なぜなら全ての人びとが仏の心を持つ尊い存在であると気付くことができれば、他人と比べて自分を卑下する必要がなく、すべてを大切に思いやる心を持つことができ、心穏やかな世界が実現していくからだ。(悠)