2023年4月1日
■いのちに合掌
コロナ禍、ロシアの暴挙と暗雲立ちこめる中、上京し久しぶりに対面の会議に出席。晴れやかな気分に浸ることができた。大雪の予報が出ていたので急ぎ帰宅の途に就き、京都駅からローカル線に乗り継いで予定より早めに帰り着いた▼大雪だと大騒ぎした割には大禍もなくよかったと思っていたが、テレビを見て驚いた。京都市内でも列車が立ち往生して何時間も乗客が閉じ込められていたという。逆方向だったのでよかったと安堵した▼ところが「お父さん、無事帰れましたか」と離れて住む家族からメッセージが入ってきたのには驚いた。筆者が乗ったローカル線も、すぐ後に雪で動けなくなり乗客に水とビスケットが配られたのだという。「ビスケットを戴かずに無事に済んだ」と返信したが、少しの時間差で何が起こるかどんな出来事にあうか、改めて考えさせられた▼いのちを戴き、この世に今在ること自体が不思議の力によるというほかない。さまざまな危機や危難を乗り越えて今がある。1人自分の力だけでどうにかなるものではない。同様に自分以外のいのちについても、互いに他のすべての存在、すべての力に生かされて今がある▼日蓮聖人は「いのちと申す物は一切の財の中に第一の財なり」と説かれているが、互いが互いのいのちを認め合掌し真に尊ぶならば、世界を覆う暗雲も消し飛ぶにちがいない。 (直)