2022年3月20日
■「忍」
当山の本堂には日蓮宗新聞社が製作・発行した「日蓮聖人聖語カレンダー」が掛かっている。月が替わるたびに出会う聖人のお言葉が嬉しい▼予報通り、大晦日からの猛吹雪の中で迎えた元旦。前途多難な1年を予感させる中でめくった1月の聖語は「心の財をつませ給うべし」(『崇峻天皇御書』)。吹雪に負けずに頑張ろうという勇気をいただいた▼毎日のように降っては積もる雪と厳しい寒さ。そして毎朝の雪かきや屋根の雪おろしといった重労働に追われる1月と2月。そんな冬をじっと耐えて生きる北国の人間にとって、正直いって1月と2月は早く過ぎてほしい月。そんな思いでめくった2月の聖語は「娑婆と申すは忍と申す事なり」という『四恩鈔』の一節。冬を耐えることだけが「忍」ではない。そもそも人生とは四苦八苦といわれる多くの苦しみを耐えて生きること。つまり「生きる」とは「忍」そのもの。今年はオミクロン株まで加勢。あらためて「忍」の大切さを教えられた▼その2月が去り心躍らせてめくった3月の聖語は「陰徳あれば陽報あり」(『陰徳陽報御書』)。厳しい冬を「忍」で過ごした人にとって天地万物が活気づく3月は待ちに待った「彼岸」の世界。「忍」への「陽報」だ。彼岸がインドや中国でなく日本で生まれたのは、冬という季節があるからでは。春の陽報を信じ、人生の冬を「忍」の心ではげみたい。(義)
