2022年2月10日
■親ガチャは〝ご縁〟
諺に「風が吹けば桶屋が儲かる」がある。風が吹けば巡りめぐって桶屋が儲かるという話だ。これは仏教でいう「縁起」。すべての事柄は「縁」という関係性によって成り立っているということだ。食事の時に「ご馳走さま」という。これは料理した人や食物の生産者が走り回って用意してくれたおかげで「いただけた」という言葉だ。目に見えない縁がつながることで食を得、人はいのちを保つ。すべての「縁」への感謝の言葉なのだ▼最近の人は「縁」のような目に見えないものの価値を認めない傾向にある。昨年の流行語大賞に「親ガチャ」という言葉がノミネートされた。硬貨を入れレバーを回すとカプセル入りの玩具が出てくる「ガチャ~」に由来する言葉だ。「ガチャ~」では何が出てくるか分からないように、子どもは金持ちや恵まれた親を自分では選べないという意味だという▼この言葉に違和感を持つ人も多いことだろう。両親が出会わなければ自分は誕生しなかった。その両親も祖父母が出会ったからこその存在だ。そう考えると不思議な「縁」によって自分が生まれ、自分が生かされていることに気づくはず。この「縁」の考え方が欠落しているのだ▼親ガチャのような言葉が流行る時代だからこそ、仏教はますます存在意義を高めなくてはいけない。「縁」という「ありがたさ」を仏教徒として伝えていこう。(友)