全国の通信記事

2018年5月1日号

東京北 「祈りの日」の法要

東北180501 (9)hp用【東京北】三月二十七日、東京都足立善立寺で「祈りの日」の法要が執り行われた。
この日は仏壇・仏具の関連企業や寺院などでつくる一般社団法人「PRAY for (ONE)」(保志康徳代表理事)が「祈りの日」として日本記念日協会に登録され、初めて迎える日であった。
「祈りの日」は、仏教を保護した天武天皇が、西暦685年(天武天皇14年)3月27日、諸国の豪族に対し、「諸國家毎に佛舎(ほとけのみや)を作り、即ち佛像と経とを置きて礼拝供養せよ」(佛舎を作り、仏像と経を置いて礼拝供養するよう)と詔を発したことの記述が『日本書紀』にあることにちなむ。
まず、本堂にてエレクトーン奏者 中村麻由氏の献奏(献奏とは、亡くなった方が好きだった曲などを、葬儀やお別れ会で演奏し、その方を偲ぶもの)の中、善立寺住職新倉典生上人導師のもと龍谷寺大坂浩規上人、龍延寺北里康記上人とともに法要が執り行われた。法要では「祈りの日」制定にあたり先祖への祈り、世界の平和と幸福への祈りをささげた。
読経後、ダウン症の書家 金澤翔子氏が力強い筆さばきで「祈り」の文字の大書を奉納された。翔子氏は「心を込めて字を書きました。今後も感謝の気持ちですべての人々の幸せを祈ります」と述べられ、その後、御自身の夢を語って下さいました。翔子氏は今後も「祈りの日」を大切にしたいともおっしゃっていただきました。
その後客間にて中村麻由氏のエレクトーンの心地良い音の空間の中、ワークショップが行われ、折り紙の裏に祈りや願いのメッセージを書き、折りあがった後その鶴に息を吹き込む事によって、その祈りを運んでくれる「祈り鶴」を折りあげました。
最後に金澤翔子氏が中心となり参加者全員で「ふるさと」を合唱してお開きとなった。
最近では、祈る事を忘れてしまっている方も多いように感じる。今日一日を善立寺様で過ごし感じたのは、祈る事によって絆が深まり祈ることによって、見えないものが見えるものに変化するものなんだと感じた。願いや思いを以って何かの為、誰かの為に祈る事が大切であり、祈るもの祈られるものそれぞれが幸せになれる大切な行いなんだと、あらためて実感することができた。宗派・宗教を越えて「祈りの日」を大切にしたいもだ。

真味を求めて

「名物に美味いものなし」とはよくいいますが、本当にそうでしょうか。長崎名物といえば誰もが「カステラ」「チャンポン」と答えます。確かに美味しいです。しかし、地元のドライブインなどで食べるチャンポンやお土産品のカステラは正直言っていまいちです。でも、修学旅行やツアーなどではほとんどの人がそれを買い求めます。このカステラを「長崎土産です」と配られたら、老舗のカステラ職人さんは「ちょっと違いますけど」といいたくなるでしょう。コストの問題だと割り切るには少しつらいものがあるようです。老舗では永年の開発と工夫、その伝承と宣伝など、並々ならぬ努力を続けてきたのですから。
今、日本人の価値観が本物より安価で手軽なものへと移行しているいい例でしょう。昔の職人さんのワザモノはほぼ絶滅しつつあります。同時に込められた技や魂も失われてきました。日常生活はいうまでもなく、宗教界でも大事な伝統や習慣が捨てられてきました。それに私たちも手を貸しているのです。世間の法に染まり、法華経や日蓮聖人の教えの真味を伝えることに手抜きしているとしか思えません。また、世間もそれを許しているのが問題なのです。似非カステラやチャンポンと同じ次元にあるのかもしれません。
私たちが子どもの頃は、「食べ物は残さず食べる」が当たり前でした。でも今は、「食べたくないなら無理して食べるな」、「嫌いなものは残してもいい」。子ども1人ひとりの個性を大事にして、「みんな違いがあって、それで良い」がいつの間にか共通認識になり、反面それに応じるように、食べ物は画一化され真味を失いました。確かに個性や違いは必要でしょう。しかし、それを良しとして思考停止してしまい、個々の考えを伸ばすことを忘れているのです。あくまで私たちの社会は互助の集合体であり、その中で常に自助の努力を怠らず生きてゆくものです。そのためにも歴史や世界の真実を学び、真に美味しいものを求めなければなりません。名物や宣伝に煽られたり、俗耳に心地良いきれいなことばにだまされてはいけないのです。
総務省の人口推計によると、75歳以上の人口が数年で2千万人を超え、少子化も進み、5人に1人は高齢者になってしまうとのことです。今のような教育や政治では互助の社会生活は成り立たなくなることは疑いありません。家庭や学校や地域の連携が役立ちそうにない今こそがお寺の出番なのです。それを踏まえて拙寺では本物の伝統芸能を無料で一般公開しています。田舎ではめったに鑑賞できないプロによる能、狂言、人形浄瑠璃、神楽、邦楽など、すべてが本物です。私自身がその芸能のすごさに感動しているのです。同時に同様の伝統教団である我々の教化伝道の脆弱さにため息をつくばかりです。本物を伝えようとするエネルギーをしっかり吸引しなければならないときがきたようです。
アメリカ大リーグで、大活躍をしている大谷翔平選手は日本中に勇気を与えてくれます。今日までの大谷選手の測り知れない努力や工夫、周囲の理解や協力、すべてが本物でしょう。だからこそ真味が発揮されているのでしょうから。ひとつひとつをしっかり吸収し、味わっていければ真味を知ることができるでしょう。土に留まる真味を、大地に這いつくばってでも求め、大地を元に何度でも蘇り、地涌の菩薩としての自覚を持って、自身の成長を遂げ、次世代の人々にその味を伝えていきたいものです。少し割高でも本当に美味しい長崎カステラをお求め下さい。
(論説委員・岩永泰賢)

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寺の子だったら「人が死ぬともうかるらしいな」

寺の子だったら「人が死ぬともうかるらしいな」と同級生から悲しい言葉をかけられた経験があるだろう。この言葉を、どう受け止め、どう克服していくか、それが寺の子の成長の一面である▼大学の先輩から1冊の本が送られてきた。彼は東京証券取引所1部上場仏壇チェーン店の3代目会長である▼仏壇は持仏を安置する持仏堂に由来する。中世になり霊の依り代として位牌が普及してくると、家の中に棚(壇)が必要になる。家の中の持仏堂だ。そこが家庭での仏壇であり、先祖供養の場となった。明治以降、日清・日露と戦没者が増え、仏壇は一般化していった▼本の中に、福岡県の炭鉱地帯の1仏壇店が、業界屈指の大手に成長していく過程が書かれている。昭和38年に三井三池炭鉱で458人が死亡し、839人が一酸化炭素中毒に罹るという戦後最悪の炭塵爆発事故が起きた。2代目は、事故で亡くなった家へ、仏壇の訪問販売に行く決心をした。親しい僧侶から「悲嘆にくれ明日が見えない遺族に商品を売るには『ひとの不幸を商売にして…』と、塩を撒かれるぐらいの覚悟がないと」と忠告され、供養の心の大切さを説いて回った。罵倒されながら100基以上の仏壇を売ったという。商売だからと言ってしまえばそれまでだが、「お前さんの僧侶としての覚悟は?」と問われると、本当の使命に気付かされる私がいた。 (雅)

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