2018年6月10日
「割れ窓理論」という学説がある
「割れ窓理論」という学説がある。数ある窓ガラスの中の1つが割れている建物の窓は、次第に割れた窓ガラスが増えていく。逆に割れた窓ガラスのない建物のそれは割れていかない、というものだ。▼作家の椎名誠さんは「ネットやテレビではわからないものがある。それはにおいなんですよ」という。その場所に行かなければわからない気配とか、肌に感じるものは確かにあるようだ▼先日、四国の高松市に行く機会を得た。なかな四国に行く機会はなく楽しみにしていた。仕事も終った翌日、高松城址公園を散策して、帰りの空港までのバスの窓から見えた光景に、目を見張った。朝のまだ8時ころだが、城址公園の周りを、近くの会社員と思える人たちがゴミ拾いをしていた。軍手をはきビニール袋を持ち、きびきびと清掃をしている動きから、いやいやしていくようではないように見える。進んでしているようにさえ見えた。会社の方針か、市の呼びかけによるものかは知りえない。が、1日の始めの朝の光景としては何と清々しいことか▼「故郷って場所じゃのうて、そこで会われた大切な人たちなんかも知れん」(NHK朝ドラ『まれ』)という。「正しい教え(法華経)による人の心と行いは、自然に伝播していくものだ」(『一生成仏抄』)、と宗祖はお示しくださった。人づくりが住みよい街をつくっていくのを痛感した。(汲)