2018年3月1日
「自分で考えていた以上に
「自分で考えていた以上に病気が進行していたみたい」。見舞いに行った人の報告を聞いて、すぐに檀家さんの許へかけつけた。ショックを受けた様子の檀家さんから「日蓮聖人のご病気と最期」について尋ねられた▼宗祖が病気を自覚されたのは、55歳の頃からだとある。建治3年、56歳の時から翌年にかけて、下痢の症状が続き、悪化していった様子がお手紙から拝察できる。「はらのけ」「やせやまい」とご自分で書かれた病名は、慢性的な胃腸障害からくるものであろうと推測される。「既に一期おわりになりぬべし」と思いを深くしたのは、59歳の時である。それでも、心を合わせて信心に励むように、門下の信徒を諭し続けている。最晩年には「命はかぎりある事なり、少しもおどろく事なかれ」と覚悟し「やまいは、仏の御はからい」との境地を示された▼最悪のケースを考えている檀家さんのは、言葉を選びながら、生きることを諦めずに、最期まで、成すべきことを成した宗祖の姿を話した▼面会の終わりに、身延山第91世藤井日光猊下の話をした。私が担当した僧侶を養成する信行道場で、道場生から「身延山での日蓮聖人は?」と質問を受けた法主さまは「聖人は、身を削り命を削って最後まで、門下の指導に当たられたのですよ」と涙ぐみながら話されたエピソードを伝えた▼覚悟を決めた檀家さんは手術を受け、今、回復の途中にある。 (雅)