2018年2月10日
「生きてるだけで丸儲け」。これは
「生きてるだけで丸儲け」。これはタレントの明石家さんまさんの座右の銘だ▼今年は全国的に近年にない寒さと雪の多い冬となった。滑って転んでけがをする人も多い。まさか自分がその当人になるとは思はなかった▼札幌の仕事の帰り、特急列車から降り立った途端に、転んでしまった。左手には紙袋、右手には法衣一式が入った重いキャリーバッグ。身体が傾いていたせいもあって見事に転んでしまった。紙袋の中身は散乱し、左足の向うズネをホームの角に思いっきりぶつけて酷く擦り剥いた。勿論、血が出た。久しぶりに血をみるけがをした。家に帰り応急手当をして床に就いたが、自らの反応の衰えに情けない思いに駆られながら眠りに入った▼翌朝、「無事に目が覚めてよかったね」と妻に冗談交じりにいわれた。「そうか、昨日と同じように朝、目が覚める。起きられることだけで有難いことなのだ」と、実感として教わったような気がした。「いのちに合掌」といつも言っているのはこういうことでもあるのだと。朝の日差しが優しく感じた▼「風流」とは自分の力ではどうにもならないことをもいう。最後の越後の瞽女、小林ハルさんは「いい人と歩けば祭り。悪い人と歩けば修業」といった。お祖師さまは「善からんは不思議、悪からんは一定と思え」と教えられている。どの言葉も時間と共に忘れたり、薄くなる我が身が情けない。(汲)