2017年2月10日
寒い季節にはお風呂が一番だ。
寒い季節にはお風呂が一番だ。数を減らしている銭湯がいま外国人に人気を呼んでいる。江戸時代の銭湯では、「田舎者でござい」「冷えもんでござい」など、声を掛けて人の迷惑にならないようにしたという。「体が冷えておりますので、間違って触れたらお許しください」「冷えた体で湯船に入りますので、湯の温度が下がったら御免なさい」ということだという。人への気遣いが粋に伝わってくる▼立川志の輔さんの高座で、お客さんが来るので饅頭を20個買ってくるように子どもが頼まれた。行ったお菓子屋には丁度20個の饅頭があった。主人の「よかったな。今日はもうあとは作らないよ」との言葉にその子は、「間違えた」といって18個だけ買った。話を聞いた母親は「いいことしたね」と褒めた、という話を聞いた。これは実際あった友だちの話だ。次に来たお客がせめて2個だけでも買えるようにという、子どもとはいえ粋な計らいである▼粋とは混じりがない美意識のことで、自分の損得は勘定に入れない気前、気概の意味を持つ意気に通ずる▼こんなイキな心を育んだのは家庭での教育の力だ。この母子は日頃どんな話をしているのだろうか。家族は多いのだろうか。きっと仏壇があり、食事の時「いただきます」と合掌しているのだろうか。などとつい考えてしまう。おっと、そんな詮索はヤボというものですな。 (汲)