2014年12月20日
小さな湧水湿地がある。
小さな湧水湿地がある。大阪府北端の山中にあり、サギソウやモリアオガエルなど、府下では希少となった動植物が数多く生息し、大阪府緑地環境保全地域に指定されている▼この貴重な湿地を維持するには、常に一定の水が流れ込まなくてはならない。周辺で工事や樹木の伐採などがあれば、水量に急激な変化が起こり、湿地がなくなるかもしれない。そこで、樹木も切らず、人の手を一切入れることなく自然のままにしておくのが良いと判断された▼ところが近年現地を調査したところ、湿地が消失寸前となり、生態系の崩壊が懸念される事態となっていることが判った。流れ込む水により土砂が堆積し、そこに木や草が繁茂し、また水流で掘られた溝が出来るなどにより、湿地の乾燥化が進んだのである。人の手を加えないということが却って仇となったわけだ▼今ではススキや樹木を掘取るなど、陸地化防止のための様々な活動が展開されているという▼保護と放置は根本的に異なるものだ。相手が「自然」であっても、良好な状態を保つには人の手による保護育成が必要なのである。この保護育成とは、次世代を育て次世代につなぐということに他ならない▼翻って我が宗門はどうだろうか。次世代を担う法器の養成、この先の宗門を支える信徒の育成等を展望するとき、新年を前にして、宗門運動の今後の展開に期待するところは大きい。(直)