2020年2月20日
◆できる・できない
腰を痛めてしばらく車の運転ができなかった。不便この上ない。行きたい時に行きたい所へ思うように行けない。タクシーを呼ぶにも時間がかかるし、家族に運転してもらうにも今と言って今すぐというわけにはいかず、都合をつけてもらわなくてはならない。家族であってもそれなりに気を遣う▼今までできていたことができなくなる。誰かに頼らなくてはならないという境遇は、思った以上に気持ちを萎縮させることに気付いた。例えば、誰にも必ず老いはやって来る。それを素直に認め、他の人の手に頼ることができるであろうか▼そう言えば電車内で初めて席を譲られたときを思い出しても決してうれしいものではなかった。「そんな年寄りに見えるのか」と▼しかし考えるまでもないことだが、誰しも自分1人で生きていくことは決してできるものではない。目に見えなくても様々な人々や種々のもの、たくさんの力によって生かされているのが私たちなのだ。できないからと嘆かなくてもよい。またできたからと偉そうにするものでもない▼今月10日は加行所の成満会であった。寒壱百日の修行を満じた行僧並びに関係者には悦びがあふれていることだろう。しかしその快挙も独りで成し得たものではないことを思念し、今も支えてくれている力、多くの存在を思い浮かべ、謙虚に報恩の菩薩行を続けてほしい。(直)