2019年7月20日
悟り
高齢者の運転ミスによる悲しい事故が頻発している。自分もその年齢になっているだけに、人ごととは思えない。そして事故のたびに叫ばれる「免許返納!」という非難の矢が、まるで自分に向けられているようで辛い▼交通便利な都会なら車は不要かも知れない。しかし交通の不便な地方では、車は生活、いやそれどころか生命維持の必需品。車がないと病院にも、買い物にも行けない。まさに死活問題なのだ▼現代は車中心の社会。大型店や商店がみな郊外に集中する。そんな時代に車が使えないということは、大変な不便を高齢者に強いることになる。問題の解決を高齢者の免許返納に求めるだけでなく、人中心の地域づくりやシステムづくり、さらに高齢者が安全に運転できる車づくりといった分野の取り組みも重要なのでは▼人は誰でも自分のことは自分が一番よく知っていると思っている。事故を起こした高齢者も、まだまだ自分は大丈夫、と思っていたはず。ということは、自分のことを一番知らないのが自分、ということなのでは▼「悟」は「吾」と「心」を組み合わせた漢字。つまり自分自身を知ることが「悟」だ。自分が高齢者であることを自覚し、細心の注意を払って運転をする。それを「悟り」という。車だけでなく人生の安全運転にも「悟り」は重要。そのためにはしっかりお題目を唱えることだ。(義)