2018年9月1日
ウチのお寺では8月16日の
ウチのお寺では8月16日の盆法要の日に、夜の部で流れ灌頂(精霊送り)をしている。盆踊りの後、初盆の人が浜まで精霊舟を引いて行くのだ。東京の7月盆で初盆の供養をする檀家さんに伺った時に、その催しへの参加を勧めてみた。「参加者も、世話する人も減ってきた素朴な行事ですが、私は大好きです。8月の旧盆に帰省なさいますか?」と尋ねたのだ▼大手物流会社の幹部社員であった檀家さんは、ハード面のシステム改革と、意識面のソフト改革に携わったという。コスト計算のハード面では、最新鋭の設備を導入しなければならないし、直にお客さまと接するソフト面の人の教育には苦労したという。その彼が「お坊さんというのは、必ずしも時代と共に生きることはありません。時代からずれているからこそ、見えてくるものがあるはずです。住職の精霊に対する素朴な思い、結構じゃないですか。その人が生きた前後の時代を、見つめることができるのがお坊さんでしょ。私も女房を連れて、精霊送りに参加しましょう」と言ってくれたのだ▼初盆供養に帰省したその彼は、盆踊りの輪の中から抜け出て、話しかけてきた。「自分たちの想いを、亡き人に届けるには、これですよね」▼そうなのだ。眼には見えない亡き人やご先祖さまと一体になれるのが、お盆の醍醐味なのだ。これほど嬉しい言葉はなかった。(雅)