2018年4月1日
法要後、本堂を歩く師僧の後ろ姿を
法要後、本堂を歩く師僧の後ろ姿をみて驚いた。袈裟が異様なほど大きいのだ。袈裟の下部は膝あたりまである。七条袈裟かと思ったほどだが、五条だった。それにしても妙な雰囲気だ▼思い切って本人に尋ねると「最近、身長が縮んだらしい」とのことだ。つい最近までは170センチメートル近くあったはずが、10センチは縮んだようだ。しかも、腰が曲がってきている分だけ身長がますます低く見える。本人も気にしている様子だ▼最近は元気なお年寄りが多くなって、老人扱いをしないほうが良いと思うときも多い。ご老人もそれを嫌っている様子だが、歳には勝てない。周りの人たちの気配りが大切なのだと教えられたのだが、腰以外は至って元気な師僧とは意見が合わないときは年齢など考えないで口論する。それも老化防止の親孝行だ▼しばらく前のことだが、乗ったタクシーの運転手さんが白髪の老人だった。その会社の退職年齢が何歳か知らないが、きっともう定年間近なのだろうと思い、ねぎらいの言葉をかけた。「お歳なのに大変ですね」 と発言をしたとたん、彼は後ろを振り向き「貴方は僧侶のくせに酷いことを言う」と怒られてしまった。聞けば白髪は病気によるもので、まだ50歳代だった▼よかれと思っても不用意な発言は慎まなければいけないと肝に銘じたのだが、それが高じて人様に冷たい最近の風潮もどんなものだろうか。 (寮)